ストーリー24 みんなに慕われたドルカス
新約聖書の中にドルカスという女性が出てきます。カモシカという意味です。それほどに聡明な女性だったということでしょう。ヨッパという港町で彼女は生活をしていました。比較的裕福な家庭の女性だったようです。まわりの多くの女性たちの世話をしていました。あるとき彼女は病気になってしまいます。心を痛めた仲間たちは、近くの町にイエス・キリストの弟子たちを呼びに行きます。しかし、それも間に合わず、ドルカスは命を落としてしまいました。
仲間の女性たち、特に身寄りのない未亡人たちは、ドルカスをとても慕っていました。世話をしてもらい、面倒をみてもらっていたからです。ドルカスの死は非常に大きな悲しみでした。弟子たちが来たとき、未亡人たちは代わるがわるにドルカスのしてくれたことを伝えます。ドルカスがよく面倒をみてくれたこと、多くのものを施してくれたこと、困っていればいつも助けてくれたこと。彼女が作ってくれた上着や下着の数々を見せながら、みんな泣いて訴えるのでした。弟子たちは心を動かされ、神に祈り、ドルカスの遺体に声をかけて、彼女を生き返らせました。
ドルカスは何を願って生きてきたのでしょうか。自分に与えられた裕福な歩みを活用して、人々の役に立つように歩んでいました。それを通して、助けられた人たちが多くいました。彼女の時間、能力、与えられた良きものは、貧しい人たちのために使われました。未亡人たちの生活は豊かなものになりました。
もちろん、ドルカスは人々の尊敬を得るために売名行為で人助けをしたのではありません。未亡人を助けるという目標を掲げて実行したのでもありません。目の前の人に手を差し伸べ、いつも自分に与えられた責任を果たしてきただけです。だからこそ、多くの人が彼女を慕いました。ドルカスの歩みが覚えられ、聖書の中に名を残すエピソードになったのは、こういう理由もあってのことでしょう。