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前向き抱っこはどうでしょうか。

【Q 前向き抱っこはどうでしょうか?】

A)前向き抱っこされている赤ちゃんと同じ姿勢で誰かに抱っこされている自分を想像してみましょう。1歳の赤ちゃんで考えてみましょうか。


 身長160㎝の自分(3.5頭身なので、頭が47㎝位、でかいです)が、350㎝の巨人に前向き抱っこされて移動する感じ(笑)ですね。う~ん、ちょっとイメージが難しい💦

 体が幅広の紐で固定されています。
 ヒップシートに「座って」いるようですが、お尻が乗っかる部分が少ないので、足を曲げては座れません。立っているのと違って、足裏が地面についていない状態なのに、ほぼ立っている感じですね。体は固定されて安定?はしているのですが、このとき、足の筋肉はどうなっているでしょうか。力が入りにくいですね。
 手もぶらぶらしています。掴まる場所はありません(広告の写真はしばしば親の手を握っていますが、親は普通は両手を握って移動はしません)。
何かあったとき、どこにしがみつけばいいでしょうか? 
 お風呂に入るときの赤ちゃんって、前にガーゼの布をかけたりしないと不安がりましたよね。猫がおなかを見せてひっくり返っているときは、心の底からリラックスしている、かなり安心な状況のときだけですよね。おなか側を街中の人たちに広げてさらすというのは、元四つ足動物としては、不安が残りそうです。
 先ほど書きましたように、頭はかなり重いです。頭重はどこにかかっているでしょうか。また、全身の重力はどこにかかっているでしょうか。
 抱っこしている人が歩いていると、向こうから、いろいろな人や景色が迫って来ますが、それに対して、自分では何も反応できません。自分から関わって行ける刺激はいいのですが、一方的に刺激を受けるのは実はあまり生物にとってよくないかもしれないという猫の古い心理学実験が思い出されます。最後に紹介するウェブサイトの中に、前向き抱っこされている赤ちゃんが見ている風景を体験できる動画がありますので、ぜひ見てみてください。情報過多であることがわかるでしょう。

 というわけで、赤ちゃんと同じ格好で30分とか1時間とかあるいはそれ以上、過ごすことを考えてみると、「どうでしょうか」の質問に対する自分なりの答えが、それぞれ自然に出てくるように思います。

 抱っこひもを開発する人たちや、抱っこの仕方を教えている人たちには、前が見えればいい、とか、身体の一部分である股関節がよければいい、という部分的観点以上に、自分が同じ立場だったらそれが心地いいかどうかを考えてほしいです。
 赤ちゃんも私たちと同じ心や感性や身体を持った人間だから。
 しかも何よりも、赤ちゃんの時期は、安心感や五感といった全体性のある感覚が大切な時期です。

 さて、下記の動画の解説は、ドイツの抱っこ紐業者のウェブサイトですが、前向き抱っこについてよりしっかりと順序だてて丁寧に説明されていて、とても参考になると思います。正面向けの抱っこを考える際には外せないサイトです。(完全に同意するわけではない文も一部あるにはあるのですが)

 抱っこ一つとっても、人間のからだの動きや発達を考えると、学ぶことがたくさんありますね。


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