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読書感想文・図書館

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2023年5月の記事一覧

読書とは祈りである

眠ろうと思ったら 大江健三郎さんの「燃え上がる緑の木」の 「100分で名著」が始まってしまい、 つい見てしまったのだった。 宗教の教団を作ってしまった人。 暴走する人 殺されてしまう、前教祖 生まれ変わりのように現れる人。 やがてその人にも危機が訪れるが 次につながれる存在が示唆される。  (時代から考えるとオウム真理教の暴走の   ある意味先取りなのだが   今聞くと統一教会とも言えて) 本来宗教とは 魂の事を考えることなんじゃないかと。 祈るとは集中する事 苦し

少し整頓できた部分。 臨床心理に関心を持ったのは河合隼雄さんがきっかけだった。 河合隼雄さんの全集も買ってしまったのに、個々の本にも愛着が残っている。 まぁ、数ヶ月は 余裕がありそうなので、 ゆっくり悩むことにする。 きっと服の断捨離の方が早い。

間借り鮨まさよ

一つのお店の、営業をしていない時間に 間借りしてすし店を営むまさよ。 三つの店の話が語られる。 一軒めは、バスク料理店 コロナの影響もあり、 今後どういう路線でやっていくか 悩ましい。 悩む店主と、妻の その店を借りて間借り鮨を始める。 店主と妻の話を聞きながら 仕入れや仕入れ先との人間関係の作り方や 商売の基本方針みたいなことが 二人に伝わっていく。 二人はすれ違っていたが。 二軒目でクローズアップされるのは 借りている店ではなく その地に根付く、老舗の洋菓子店。

虔十公園林

宮沢賢治の童話の中で 特に心に残っているのが、 「虔十公園林」という話である。 虔十は土地をもらって木の苗を植える 等間隔にていねいに。 だんだん木立は大きくなるが 下草を刈ったり枝を払ったり手入れをしっかりする。 子どもたちがその木々の間を行進して遊ぶ。 それを見ることが虔十にはとても楽しみなのであった。 まるで「雨ニモ負ケズ」を体現しているような そういう主人公だと感じている。 人間にとって「幸い」とはなんだろう 役に立つとは 賢いとはどういうことだろう と考えさせ

こちらあみ子

引っ越し荷物を作っている時、 あみ子は壊れているトランシーバーを持っていこうとする。 対になるものがあったはずだと駄々をこねる。 壊れていないカメラは放り投げる。父は黙ってしまう。 あみ子には知的障害がありそうだ。 こだわりもあり、ノリ君という男の子に執着してしまう。 それから、母の死産してしまった弟。(本当は妹だったみたいだが) 霊がついているとかどこからか聞いてそれにも執着してしまい 母の心が壊れる。 あみ子にはわからない。わからないのだ。 善悪とか常識とか情とか他者

時の町の伝説

ダイアナウィンジョーンズの小説は基本ファンタジーなのだが この作品は、SFとも言えるようだ。 第二次大戦でロンドンから疎開する少女ヴィヴィアンを、未来の少年たちが連れ出す。 時の町と呼ばれる町を滅ぼそうとする「時の奥方」と間違われて。 誤解が解けていく中で、 「ヴィヴィアン・リー」というあの女優の名前を出すと、 それは連れ出した少年ジョナサンの従姉と同じ名前だとわかり、 「従姉」という扱いで ジョナサン一家の家で暮らしながら、時の町の奥方や、 時の町の破滅を防ぐために 金

未来のサイズ 

俵 万智さんの「未来のサイズ」から プレッシャーと闘う心   AIの持てないものの一つと思う 生きながら死につつもある人間は   勝ちながら負け、負けながら勝つ コロナ禍で編まれた歌集である。 表紙自体が、オンライン会議のように並べられているようだ。 そういう歌もあった。  トランプの絵札のように集まって    我ら画面に密を楽しむ ちょっとした批判的精神、反骨精神をきちんと持っている人だと思う。 (0284)

パーシージャクソン ヘルメスの杖

パーシージャクソンのシリーズは全部読んだと思っていたら 読み残しの外伝が図書館にあった。 パーシージャクソンを最初に読んだとき  パーシーはADHDで、同級生が話していることは 全部ギリシャ語に聞こえるという設定に驚いた。 it's all greek to me という英語表現が使われていたんだと思うけれど、 それが、実はギリシャ神話のポセイドンと人間の母とのハーフで、 半神である、という事につながっていく。 この本には、作者自身の解説が載っていた。 実は、自分の息