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起業と言葉 vol.007 Buffer

こんにちは!元電通のコピーライターで、現在は独立起業し、クリエーティブディレクター/起業家をしておりますのぶです。最近自分なりのクリエーティブディレクターの仕事の定義がまとまってきました。下記の記事にも書きましたが、クリエーティブディレクターの仕事は、企業や商品の価値を再定義して、世の中の課題への解決策を言語化すること。そして起業家や新規事業の担当者は、同じように世の中の課題を再定義して言語化し、その課題への解決策を考え出すことが仕事だと思います。今回は、時流を捉えて新しいビジネスを生み出した、アメリカのスタートアップについてです。

Bufferのピッチデッキ

本日はアメリカのスタートアップ、Bufferについてです。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、Bufferは2010年の創業で、FacebookやTwitter、LinkedIn、PinterestなどのアメリカのSNS全盛期の時代に、ソーシャル・メディア管理ソフトウェア(エンゲージメント確認や、スケジュール管理など)として大きく成長したスタートアップです。このピッチデッキで、初期の50万ドルの調達(当時のレートで5000万円ほど)を調達したと言われています。では早速見ていきましょう!

虎の威を借る言葉

Bufferのピッチデッキは、まずみんなが知っている有名人の言葉を元に、世がSNS大航海時代であることを示します。まずはFacebookの創業者にしてCEOのマーク・ザッカーバーグの言葉を借りて、1年間でのシェア数の変化を語ることで、爆発的なSNSの伸びを感じさせます。さらに後半では、「ソーシャルマーケティングがSEOを凌駕する日も近い」というDonanzaの言葉も紹介しています。

ソーシャルメディアがトレンドであることを示す

データではなく、引用で聞いてもらう

データがなくても説得力が出せるコツとして、「引用」があります。著名な方の発言なら、耳を貸してくれる人もいますし、日本でも主流のタレント広告なども、「この人が言うなら、聞いてみよう」と言う人間の無意識の心理効果を活用しています。ただデータで説き伏せられるより(それも大事ですが)、「あの人も言ってたよ!」の方が聞く耳持つ人が増えそうなのは、感覚的にもわかるのではないでないでしょうか?

問いかけることで考えさせる

そして、ここで質問を投げかけます。「トラフィック(アクセス数)を増やすためにどうやってSNS活用していますか?」よくピッチ内で質問を投げかける人がいますが、あれも考えさせることで、自分ごと化しやすくなる、と言う効果を狙っています。多いのは数字を出して、何の数字かわかりますか?のパターンが多いですが、あれだと市場環境などの説明にはなりますが、自社のサービスに直接結びつく質問にはなりづらいので、その点は注意が必要です。下記の質問は、直接サービスを説明するための質問になっており、素晴らしいですね!

自分たちのサービスにつなげる質問

数字によるたたみかけののち、夢を語る

後半はもう、数字による畳み掛けがすごいです。
トラクションはもちろん、マイルスローン(中長期スケジュール)、さらにはビジネスモデルに至るまで、全て数字で説明しています。これだけ根拠あるっぽく見せ込まれると、絶対にやってくれそうだな、という期待感が持てる構成です。

有料ユーザーもすでに発生している
年だけでなく、月まで目標値として出しているので、計算ちゃんとしてそうというイメージに
ビジネスモデルも、図ではなく、現状のトラフィック数値から計算式を提示

最後に、競合状況を説明しながら、将来様々なSNSや、その他のツールを取り込んでいく構想を見せて終わります。これだけ数字が続くと、何だか実現してくれそう!と言う期待感が持てますね。(そして大半を実現していったチームすごい・・・)

競合環境や、市場の全体像をロゴを使ってわかりやすくまとめた

言葉の手法=人の言葉で信頼を得る

bufferのピッチ資料はいかがでしたでしょうか?今回は、このピッチ資料の前半部分で活用されていた、人の言葉で信頼を得た広告事例を紹介します。

人の言葉で信頼を得た広告事例/NIKE(JORDANブランド)

誰もが知っているNIKEは、この方法で数々の名作広告を生み出しています。その中でも特段人気があり、私自身も大好きなのが、元NBA選手で、史上最高選手の呼び声高い、マイケル・ジョーダン氏(当時は選手)を使った広告です。『9000回のシュートをミスし、300試合に敗れ、26回のウイニングショットをミスした。人生で何度も何度も失敗してきた。だから私は成功した。』と言うナレーションとともに、ジョーダンがアリーナの会場を歩く様子にしびれます。バスケットをプレイしている映像バージョンもあり、そちらもおすすめです。もうジョーダンの生き方そのものがNIKEの広告になっている、人の言葉どころか人生まで借りた広告になっています。

失敗を語り続けるマイケル・ジョーダンの広告

今回は、コピーライターの視点で、スタートアップ起業家や、新規事業担当者向けに言葉のチカラについてまとめてみました。起業をしていなくても、すべての会社の広告やマーケティング活動、企業の広報やPR活動において、これからの時代に言葉のチカラは必須だと思います。
ビジョンライティングやブランドを規定する言葉、心にのこるTVCMを作りたい方は、ぜひお気軽にご連絡ください!

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過去の「起業と言葉」を読みたい方へ

大人気だった、起業と言葉第1弾(Facebook/現Meta)はこちら

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ほぼ無風で悲しみに暮れている、起業と言葉第3弾(Youtube)はこちら

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NOBU Planning CEO / コピーライター / クリエーティブディレクター
縦型グルメSNS「Popdish」CEO(Chief Eating Officer)
鈴木宣彦
nobu@nobuplanning.com

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