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オオカミが国立公園の自然を再生した!

かつてイエローストーン国立公園では、密猟のため、オオカミが絶滅してしまっていました。

そのオオカミを復活させようと、カナダからオオカミを輸送して自然の中に解き放ったのです。

するとどんなことが起こったでしょうか?
なんとイエローストーン国立公園の豊かな自然が再生したのです。(諸説あり)

オオカミという天敵がいなくなったあと、鹿が激増して、ほとんどの植物を食べ尽くしてしまいました。

それがオオカミを復活させたことで、個体数は減り、オオカミに襲われない地域に限定して住むことになります。それにより、植物が復活します。

6年で木の高さが5倍になった地域もあったそうです。森ができるとワタリドリの数も増え、ビーバーの数が増え、ビーバーが作ったダムがカワウソやカモの生息地になる、といった風に生態系が連鎖して広がっていきました。

また、オオカミがコヨーテの個体数を減らしたため、ウサギやネズミが増え、それらを狩るタカやイタチ、キツネ、アナグマが増える、といった連鎖も起こりました。

また、再生した森の作用により、川の蛇行や地面への浸食が減り、川幅は狭くなり、水たまりが増え、野生動物にとって絶好の生息地となりました。このように、オオカミの導入は川の様子も大きく変えたそうです。

こんなことが起こるなんて、何人の人間が予測できたでしょうか?

自然農法提唱者の福岡正信さんは言います。
「"自然を知っているのではない"ということを知ることが、自然に接近する第一歩である。自然を知っていると思ったときには、自然から遠ざかったものになってしまう。

1度でもしっかりと自然と向き合って暮らしたことがあると、自然が織り成す奇跡のドラマをまざまざと見せつけられて、そう思わざるを得なくなるそうです。

本当にその通り、自然なんて、人間の浅知恵の及ぶものではありません。

いつも人間は短絡的に、この虫が葉っぱを食べるから、その虫を捕食する虫を放ってみようとか、薬で殺してみようなんてことをします。それがまた新たな問題を発生させ、モグラ叩き状態を自ら作っているのです。

医療も一緒ですね。
ひとつの対症療法の薬を出すと、胃が荒れる。では胃薬を出そう。そうすると、便秘になった。では、下剤を出そう。みたいな連鎖です。

一手先しか読んでないい、この上なく浅はかな戦術です。

全ては、人間が自然を知っているとか、体をハックできたとか、自然を凌駕できるとか思っている、大いなる奢りから生まれた不始末です。

科学を発展させたいという、人間の野心は大いに結構。これは人間である以上止めれるものではありません。
ただ、自然に生かされ自然と共に生きる、という価値観を両輪で回して行かないと、人類は大いなるしっぺ返しを受けることでしょう。(もう受けてるんですがね)

発見を妨げる最大の障害は、無知ではなく、
   知っていると錯覚することである。
                ― ダニエル・J・ブアスティン ―
                      (アメリカ歴史家)


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高橋伸嘉(のぶよし)|自然細胞科学研究者/(株)ルクセス代表/僧侶/
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