「見えない強み」としてのイノベーションの環境
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【今日のポイント】
自社の成長と改革の手段としてのイノベーションの重要性は良く目にするところですが、経営者のコミットメントに加えて、「イノベーションを進められる環境づくり」も必要となってきます。
この「イノベーション環境の構築や活用」は、自社の「見えない強み」の一つとして、今後重要性を増すものと考える次第です。
1.この記事で扱う「イノベーション環境」とは
昨今、業界や企業規模を問わず、「イノベーション」は流行り言葉の一つと言っても過言ではないとお感じの方も多いかと思います。
また、実際にビジネスモデルの改革などのイノベーションに取り組みたい、あるいはすでに取り組んでいる企業も「イノベーション」の言葉を使うか否かに関わらず、増えているものと、最近のニュースや自分の周りを見ても感じています(最近ですと、「DX」などの言葉も、イノベーションの手段として目にする機会が増えてきています)。
ちなみに、「イノベーション」自身の定義は、例えば、経済産業省の以下の資料では、
と定義しています。
(出典:『日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針~イノベーション・マネジメントシステムのガイダンス規格(ISO56002)を踏まえた手引書~』 令和元年(2019年)10月4日 経済産業省 イノベーション 100 委員会https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kodoshishin/pdf/20191004003-1.pdf )
このイノベーションに取り組む上では、経営者の意識やコミットメントが必須であることはもちろんですが、
加えて、以前、以下のブログ記事で紹介したような、「イノベーションを進められる条件」の一つとしてのイノベーション環境も重要となってきます。
『空飛ぶタクシーの話題にみる、イノベーション環境の重要性とヒント』
本記事では、自社の「見えない強み」の一つとしての「イノベーション環境」を社内環境と社外環境に分けて、
社内環境は主にコミュニケーションや知見の共有の仕組みなどの面から、
社外環境は、主に、スタートアップを始めとする中小企業への外部の支援策の活用の面から考えて見たいと思います。
2.社内の「イノベーション環境」
社内の「イノベーション環境」として、大企業などではスピンオフやイノベーション専門の部署など、既存事業とは別に組織を作って取り組む例も多く目にします。
しかし、中小企業でこの様な、組織体制を取ることはリソースの面からも非常に難しいので、現在の組織や極少人数での取り組みから始める事が多くなるかと思います。
この場合、経営者の想いやコミットメントに加えて、漠然とした表現になりますが、+
「社内の風通しの良さ」や「新しいことに取り組むことを評価する仕組み」が必要となってきます。
この「風通しの良さ」は、例えば、「社内の縦横斜めの部署や担当者間のコミュニケーションが活発なこと」ということになりますが、そこで重要なことが「雑談の機会」だと考えています。
なぜならば、現在の業務に関するコミュニケーションは、コミュニケーションの相手が職制などに限定されること、また話題(議題)も現在の業務に限定されてしまうため、既存事業の枠を超えたイノベーションのきっかけやそのきっかけを育てる事が難しくなるからであり、
これは普段新しいことに興味を持っていても、社内で共有できる相手が見つからないなど、「イノベーション環境」とは言わずとも感じていらっしゃることかと思います。
この「雑談の機会」を増やすうえで、このウィズコロナの状況では、リアルとオンラインの併用が有効ですが、以下の記事でご紹介しているような、リアルとオンライン併用ならではの工夫も必要かと考える次第です。
『ウィズコロナでの会議運営・ファシリテートのヒント』
3.社外の「イノベーション環境」の活用にまず必要なもの
社外の「イノベーション環境」の一つとして、前述のブログ記事でも紹介しているような、自社のイノベーションを育てるために必要な、「認知度向上と実用化双方の機会」としての、展示会やイベントなどの何らかの非日常的(非連続的)な環境に加えて、行政などのイノベーション支援策も、重要な社外環境の一つであり、かつ、今後も利用の機会は増えてくると思います。
例えば、経済産業省の『新規事業・スタートアップ』 https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/index.html や、
技術系の中小企業やスタートアップのイノベーション支援では、特許庁の『オープンイノベーションポータルサイト』https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/index.html を見ると、どの様な施策があり、またその施策を利用している企業の事例も掲載されていますので、まずは覗いてみてはいかがかと思います。
また、経済産業省の「J-Statup」という制度では、スタートアップと専門家のコラボレーションの促進を目的として、官民の支援のマッチングハブとしての活動を進めています。
経済産業省のJ-Startupのサイトはこちら。
https://www.j-startup.go.jp/
そして、この様な、専門家によるいわゆる「伴走型支援」の施策は、補助金や助成金も含めて、現在自治体レベルでも増えてきていますので、
自社が活動している地域での支援策にどのようなものがあるかという情報収集が、まず必要となってきます。
上記の情報収集については、現在サポートを受けている専門家(弁護士、弁理士、コンサルタントなど)や、地域の行政などの相談口などにも相談出来ますが、
自社でも情報収集を行う仕組みを作っておくと、上記の相談の効果をあげる上でも有効かと思います。
ネットを利用した情報収集ツールとしては、私は「Googleアラート」を愛用していますが、外部の情報収集については、以下のブログ記事もご参考になれば幸いに存じます。
『私の情報収集方法(情報源)のご紹介』 https://wp.me/p9D2bS-pX
なお、今回は、主に行政のイノベーション支援策の活用の面から社外のイノベーション環境についてお話しましたが、
オープン・イノベーションと言われるように、事業提携などによる社外とのコラボレーションによるイノベーション促進も必要であり、
その提携先についても、既存の取引先などに加えて新しく見つける工夫と努力も重要となってきます。
以下の記事では、ウィズコロナでのこの様なネットワークの変化についてお話していますので、ご参考になれば幸いに存じます。
『ウィズコロナでの、ネットワーク構築の進め方のヒント』
https://wp.me/p9D2bS-2lt