なぜ50歳にして出版社を創業したのか
団塊ジュニア世代を当て込んだ「50歳」を冠したコピーが増えているように思いますが、それに乗っかって考えを整理してみました。現在まだ54歳になったばかりですので、後進に役立つような記事ではありません。あしからず。
金風舎の設立は2020年10月8日で、当時満50歳でした。そのときに提出した書店取次口座開設の申請書記入例に「取次太郎 50歳」とあって「同い年じゃないか!」と嬉しくなったので覚えています。
なぜ立ち上げたのか、何度か旧ブログにも書きましたが申請書に書いた理由そのままです。
正確にいえば、以前から口座取得したり借りたり買ったりなどの助言は頂いていましたが、そもそもネット直販で出版を考えていたので電子書籍+PODのデジタル一本槍でいわゆる版元になるつもりはありませんでした。
満を持してPODで発刊した『ミーニング・ノート』が売れたのでこれから本格的にデジタル直販だと、『三円小説』を刷った直後に緊急事態宣言となってしまい、物理的に書店にアプローチができなくなったので急遽法人化して全国の書店に届けられるように取次口座を開設しました。
なので、同じく申請書の特記事項には、
と書いていて、3年経った現在もこの通りにやっています。
そういうわけで「なぜ50歳にして出版社を創業したのか?」の答えは「50歳のときにコロナ禍に突入したから」というたまたまです。
もっとも時期がたまたまだったとして、40代に取り組んでいた電子書籍の仕事で忘れられない一瞬があり、いま思えばそこが金風舎の原点となっているなと振り返っています。
もう6,7年前になります。当時、地方新聞社の記事コンテンツを電子書籍として出版するというプロジェクトを一緒に取り組んでいたローカルメディアラボ社の牛島さんの紹介で、熊本県湯前町という宮崎との県境にある町役場で、電子書籍について町民の皆さんに話をする機会を頂きました。
その会場、拙い私の話を熱心に聞いてくださっていた参加者のお一人が「『Kindle読書術』を購読しました」と、わざわざ声をかけてくださって、書店がない地方でこそ電子書籍の出番と確信し、そのあとに続く『電子図書館システム』の開発に繋がりました。
そして、その電子書籍の企画販売と電子図書館システム開発の経験が、昨年の3月に『次世代の教科書』として結実して現在に至ります。
この『次世代の教科書』は、当初計画していたデジタルライブリー(完成して公開していますが)の展開を来年度以降に延期して、いま取り組んでいることは「実用的な人文書の新刊を送り出す出版プラットフォーム」の開発です。
「新刊企画」と「ネットメディアとなる書店機能のあるウェブサイト」と、そのメディアから生み出される「書店で販売するための単行本」とを同時に企画制作しているのでかなり時間がかかっていますが、次世代の教科書編集部のブレストで常に伝えていることは「全国の若者に等しく“全部読める新刊”を届ける」こと、そして「学生に無料で読めるようにする」ことです。
「本」は全国の図書館にはたくさんありますが、新刊は発売されてすぐは書店にしか並びません。新刊配本も都市部が中心となっているため、都市部以外の地域では新刊に出会える機会はさらに減少していると思います。
この点デジカルは、顧客となる著者(であり読者)と価値を共創するサービスとして出版をとらえて事業化を進めていますが、金風舎は、商品としての本の制作販売で価値を提供する旧来型の出版社ではなく、書店減少という社会問題を解決するスタートアップとして新しい出版社像を描き出そうと取り組んでいます。
具体的に例えるとすると、出版社が印刷所や本屋を兼ねていた江戸時代の版元まで遡って、その機能をデジタルで再現する出版プラットフォームの実現です。
その最初の商品となる『次世代の教科書』は「若者世代が新刊に触れる機会を増やす」ことを目的にしています。
株式会社金風舎とは
日本の未来をつくる出版社
アイデアや知見を読まれるものにして世の中にお届けします。
「伝えたい」「知ってもらいたい」という思いを実現させること。
それが私たちのミッションです。
豊かで楽しい日本の未来をつくるため、各界で活躍する人々の知見、知識を、すぐに読める本にしてお届けします。
ミッション:
「伝えたいことを読まれるものに」
金風舎は、「読まれる本をつくる」をモットーに、現役世代にとって面白く役立つ本を、プリント・オン・デマンド版や電子書籍版として出版しています。「伝えたいことを読まれるもの」とするため、ウェブサイトの展開も同時に行い、効果的な情報発信に取り組んでいます。
コミットメント:
「現役世代に役立つコンテンツをつくり発信・出版します。」
デジタル出版技術でスピーディーな製作と情報発信を実現します。
マーケットインの出版企画で返本の無い出版流通を目指します。
「購読者との対話の場をつくります。」
オンラインツールの利活用で、著者と読者とのコミュニティの場づくりに取り組みます。
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