【やまのぼ ブックレビュー No.24】「熟年婚活」家田荘子・著<KADOKAWA>を読んだ。
2010年の国勢調査(本書発刊:2017年6月)によると、75歳になると男性の約2割、女性の約6割は配偶者と死別、あるいは離別することになるらしい。人生100年時代になれば、「一人で生きることは辛いわねえ~」というご婦人が増産される勘定だ。
歳とるごとに目に見えて、進む心身の衰えと人間関係の希薄化、それらに伴う不安や孤独の中で、「ささやかでもいい!温かいコミュニケーションが取りたい」「介護者や病人としてではなく、一人の人間として受け入れてほしい」「日々消えてゆく自分の存在意義を確保したい」といった欲求が強まってくる。
それが「熟年婚活」への行動を活発化しているのだろう。
「年をいっぱい取ると子供に戻って行くと聞くが、肉欲と金欲は別モノらしい」と著者はいう。本書は、老人ホームの中で、結婚やセックス相手を探す高齢者の実態や、婚活ツアーや婚活クラブで、恋人探しをする高齢者の実態などを、密着ルポした興味津々な内容が盛りだくさんの力作だ。
「どうやら人は、命の幕を閉じる寸前まで恋ができるものらしい」と著者は言いつつ、「20代の結婚と違い、人間ができ上がってしまっている者同士の結婚は、違うものが多すぎて、とても難しい」と現実をも見据える。
著者の言う「性の老難民」が、社会問題になる日も、そう遠くではないようだ。
<やまのぼ>のお薦め度 ★★★★☆
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<やまのぼ>のお薦め度規準
(独断と偏見です。あしからず)
★★★★★ 蔵書にして読み返したい
★★★★☆ 読みごたえありでお薦め
★★★☆☆ そこそこ読みごたえあり
★★☆☆☆ 時間つぶしにはなります
★☆☆☆☆ 本屋での立ち読みで充分
☆☆☆☆☆ 時間の無駄使いだけです