【超短編小説】細(その6)#140字小説
酔っての帰宅か。上がり框にひっかけたのだろう、踵を踏み潰した不細工なスニーカーが、玄関の土間に片方裏返しで散らかっている。それをきちんと揃えながら、今日もまた夫の神経の図太さに改めて愛想を尽かす。一日のパート疲れた心身に、容赦なく被さる徒労感。ただいま!の言葉を喉の奥に押し込む。
酔っての帰宅か。上がり框にひっかけたのだろう、踵を踏み潰した不細工なスニーカーが、玄関の土間に片方裏返しで散らかっている。それをきちんと揃えながら、今日もまた夫の神経の図太さに改めて愛想を尽かす。一日のパート疲れた心身に、容赦なく被さる徒労感。ただいま!の言葉を喉の奥に押し込む。