試験の前に「やれるだけのことはやった」と言えれば大丈夫
もう、半世紀も前の話しですが、
昔を思い出しながら書いてみたいと思います。
私が子供の頃に住んでいたのは、
東北の田舎でした。
「受験」と言えば「高校受験」が
最初の試練でした。
(当時は、中学受験などありませんでした…汗)
家からバスや電車を使わずに通える県立高校は、
近所に二つしかありませんでした。
(家計のことを考えると、交通機関は使いたく
無かったのです)
地元の一番手校(進学校)と、二番手高しか
選択肢に無かったのです。
私の成績で行けるのは、
二番手校がギリギリのラインでした。
だから、何がなんでも頑張って二番手校に
入らなければなりませんでした。
それなのに…
父親の酒癖が悪くて、勉強に身が入らなかったのです。
(普段は優しい人だったし、育ててくれたことに感謝
もしているので、ここで悪く言うつもりはありません。
それに、もうとっくの昔に他界しているので…)
そこで、家の敷地内にある小屋の2階に、
こたつと布団を持って行き、
そこに寝泊まりしながら、独りで受験勉強をしました。
外は雪に埋もれているので、
小屋の中は静寂そのものでした。
たまにガサガサ物音がすることもありましたが、
次第に慣れました。
(おそらくネズミかなんかだと思います…)
今のようにインターネットや携帯電話なども無いし、
もちろん小屋の中ではテレビも観れません。
唯一の娯楽(情報源)はラジオだけでした。
ラジオの音をバックミュージックにしながら、
買い集めた問題集をひたすら頭に詰め込んでいきました。
受験を終えた時の感想は、「できなかった…」でした。
だから、新聞で合格発表を見るまでの期間は、
毎日胃が痛い思いをしていました。
近所のおじさんが、新聞を見て「合格してるよ」
と言ってくれた時の声は、
まるで神様の声に聞こえたものでした。
今にして思えば、試験はできなかったけれど、
試験の前に、「やれるだけのことはやった」
ことが、合格につながったような気がします。
神様は、ちゃんと見ていてくれたのでしょう。
自分が父親になって思うことは…
子供の出来ていないところを見つけてダメ出しする
ことでは無く、
お前は十分頑張ったんだから大丈夫だと、
自信を持たせてあげること、
なんじゃないでしょうか。
自分はそうしてもらえずに苦しい思いをしたから、
自分の子供にはそうしてあげたいと
思っています。