2021年2月15日 所感メモ 変わった。変わっている。変わっていく。
世の中って変わらないものだと思っていた。でも改めて思い返せば驚くことばかりだ。こんなにも変わった。今も変わっている。変わっていく。
以前は、家は広い方が素晴らしくて、物は多くあるほど豊かだと信じていた。昨日と同じ服を着るのは恥ずかしかった。話題のものにはとりあえず飛びついた。「遅れてる」と笑われないように、半ば義務感でTVドラマを見て、主題歌を覚えた。CDを買ったら、レコードは捨てた。
性格は明るくないとダメで、暗いと陰口を叩かれた。友達が多くないと肩身が狭かった。周りから浮いたら気まずかった。褒められたら褒められたで必死に謙遜した。マニアックな趣味がバレないようにニコニコした。人と違うことをするのはかなり勇気が要った。日本人野球選手が大リーグに行って通用するなんて想像できなかった。
都会は憧れだった。都会の人に「ダサい」と言われたらどうしようってビクビクしていた。地方出身だとバレないよう、方言を口にしないように気を付けた。それでもうっかり訛りが出てしまった時は、顔が真っ赤になった。
ピカピカの新しいオフィスに通うのは嬉しかったけど、あちこちタバコ臭かった。下っ端は30分早く出社して皆のデスクを拭き、お茶を入れた。先輩は忙しくてあまり寝ていないのが自慢だった。上司が早く退社してくれないと帰りづらかった。
会社に女性の課長はいなくて、偉い人はおじさんばかりだった。新規案件では彼らの承認印を貰いに「スタンプラリー」に出た。飲み会は断れなかった。宴席で若手がお酌しないと叱られた。結婚していない人はネタにされた。結婚して家を買った人は途端に転勤になった。結婚といえば披露宴の引き出物は大抵かさばっていた。
営業は足で稼げ、が合言葉で、とにかく取引先に顔を出した。体調が悪くても「休みます」と言いづらくて、病院で注射を打ってもらって会社に戻った。会社にとって都合のいい存在にならなければと思って、上司との面談では取り繕ってばかりだった。
大先輩の困った言動は笑顔で受け流すしかなかった。声を上げれば逆に不利な立場になった。理屈が通らないと思っても、黙ってやりすごすことが身を守る術だった。どうしても言いたいことは、会議が終わってから数人に小声でつぶやいた。与えられた場所でなんとかするしかないと思っていた。
世の中って変わらないと思っていた。でも改めて思い返せば驚くことばかりだ。こんなにも変わった。今も変わっている。変わっていく。まだこれからも。