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つれづれ読書感想文(その26)

長い、最近はエッセイや新書なんかばかりを読んでいたから大長編小説を読んでいなかった。

「ラプラスの魔女」

昔ドラマ?映画?になったかな?
それは見ていないので勝手にガリレオシリーズなんだと思ってました。
いつになったら湯川先生が出てくるのかなあと思っていましたが出てこないで終わりました。

東野圭吾さんの小説はミステリー小説もさることながら一風変わった作品が好きです。
例えば「名探偵の掟」

この本はいわば鉄則というものに重きを置いております。
密室殺人が起きたら館から出られないとか、容疑者全員を集めて推理ショーを始めるとか。今までの探偵シリーズではこういう展開になるよね!というものがありそれに抗うといいますかなんといいますかそれをわかったうえで
メタってくる話です。
途中から探偵役が読者に向けて話しかけてくるんです。

「うわあ館ものだよ・・・とか、この状況で前に出て推理ショーなんてしたくないよう。」とか

小説といいますがスタンドアップコメディを見ているかのような話です。

そんな話を書かれていますが、探偵ガリレオシリーズでは、普通の人では理解できないようなトリックを思いつきミステリー小説として練り上げている。

今回の話はどちらかというと後者に近いです。
ただし、ミステリー小説というよりもサイエンスフィクションに近いような気がします。
何よりトリックができるのかできないのかよくわからに切り口ですからね。
神様がそう言っているからできるんだといわれて、そうなんですかと言わざる負えないようなトリックです。

でも、それを如何にもありそうに話を作り上げられるのですからすごいと思います。

恐らくあらすじと結末だけ聞くとこの話の内容は楽しめません。
実際に読むことで骨子に肉付けがされて行き物語として面白いなと感じれるような作品なんだと思います。

ちなみに500p近くあります。下手の名小説であれば上下巻に分かれそうなもんですが、1冊で腰を据えて読めるときにおすすめです。

個人的には理系の方にお勧めです。物語としては文系の方も読めるかと思いますが、えええそれって本当にできるのかよと、そうなったらできるのかもしれないという加減が絶妙だと思います。
その線引きを楽しめる理系の方によりおすすめできます。


余談。

7月は20冊近くの本を読みました。
立ったそれっぽっちではありますが、物語の長い短いではなく
いかに読者を引きずり込むか。この辺が文章を書く人の力量なんだと思います。
詳細を書きすぎれば何が何だか分からなくなりそうですし、端折れば端折るほど展開がどうなったのかついていくことができなくなります。

如何に読者が話の展開に飽きずに内容をくみ取り続けられるか。
章の長さを短くしたり、会話の部分をどれだけ入れるのか。
さらにはどの場面を先に入れて導入にし、そこから続けて話しを書くのか。
一度場面をかえて、場面切り替えに新鮮さを与えるのか、すべてがかみ合って最後まで読者を運ぶ文章というのが完成されるのではないかと思います。

この本はそれがとてもうまい。
話しがA→B→C→Dと進めるところをA→Cとどこかつながりがない話の構成にすることで最後まで新鮮さが際立ち、ラストに至る伏線の回収がとても気持ちの良いものでした。

東野圭吾さんは昔から読んでいる作家さんですが、読書を続けていたことで改めてどういうところが面白く素晴らしいのか気づくことができたような気がします。


おわり

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