つれづれ読書感想文(その36)
「あわのまにまに」
この本はある家族のお話、そして、この家族の時代ごとにどんなことが怒ったのか、そんなことが書かれているお話。
たいていそんなことがあれば生まれた子供が大人になり、また子供が生まれてとつながっていきそうだがそうではない。
この本は時代を逆行していくのだ。
ときは2029年と今の私たちからすれば未来から始まる。
ある姉妹がいてちょっと変わったお姉ちゃんがいる。そしてそのお姉ちゃんのお母さんが亡くなったところから話がはじまる。
次はその10年前の2019の話。お姉ちゃんが少し若く、結婚したての話。
物語に登場する人物が少しづつ出てくる。視点は、その年代によって変わっていく。
なるほど、こうやって人物の視点が変わりながらときをさかのぼっていくんだな。
次は2009年、お姉ちゃんが結婚する直前の話、だけれども、あれ?人物相関が違うような?結婚する相手が?あれ?
その次は1999年お姉ちゃんが大学生の時の話、この時に出会ったのかしら?
ちなみに妹とはまだ出会っていない。
次は1989年、お姉ちゃんが子供のころの話、死んだお母さんの世代の話になる。おねえちゃんのお父さんのお葬式。
最後は、1979年、お姉ちゃんが生まれるときの話。
最初の30年くらいは、間の年数で一体何があったのかというところを想像しながら割と青春群像というかヒューマンドラマという視点で読める。
というかそんな話なのかな?となる。
だけれど1989年で少し様子がおかしくなる。あれ?昼ドラになる?
そして最終章でドロドロする。
お母さんがドロドロしていて、お姉ちゃんが生まれてきてどんな一生を歩んでいたのか、きっと間の10年間の間に知ることがたくさんあって人生が変わっていったのが想像できる話の構成になっている。
読者としては、時代がさかのぼっているので一瞬こんがらがるが、改めて新しい、昔のエピソードが出ると、先に読んだ現代のお話とつじつまが合わないところが散見されるようになる。
でも、私たちの日常も実は数奇に満ちており、切り取られる場面によっては同じように波乱万丈な人生になっているのかもしれないと考えさせるお話でした。
はじめ爽快、しゅわしゅわしており、終わりが苦いお酒のような、ジンジャーエールのような、そんなお話です。
おわり