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つれづれ読書感想文(その39)

吉田篤弘さんの本は、この本が初めてですね。

「流星シネマ」

とても気持ちの良い文体です。
少し極まりすぎているときには詩なのかな?といった印象にもなります。

そんなわけで読んでいるときは、ふわふわと、窓からぼんやり町の風景を見ているような、あの人はどんな人なのかな?今日はどんな風に過ごしたのかな?と問いかけてみたくなるような作品です。

著者は映画にもなりました「つむじ風食堂の夜」も書いております。

あの映画もこの作品に負けないくらい、詩のような、しっとりと心にしみこんでくるようなお話でした。

なんとなく、「かもめ食堂」とか、「食堂カタツムリ」のような、ある場所を舞台にした群像劇を見ているような感じです。

時間がゆっくりと、その情景を切り取り、言葉はたっぷりと感情をこめて
少しずつ、静かに、波のように?歌のように??
心に響いてきます。

まあ、逆を言えば、とても淡々と物語が進み、抑揚はありません。

あっさり読んでしまえますが、深く読み込むこともできるようなお話です。

加えて言えば、物語の情景がとても好きです。

「耳をすませば」や「コクリコ坂から」のように、坂がでてくる情景というのはすごく惹かれます。

実際の町でいれば、長崎、そして横浜などがいい坂があります。

そして、水場があります。

これは川というより、小川ですかね。

ゴーゴーと鳴り響く川も、ざーと流れている川も素敵ですが、
サラサラと流れている小川のほうが惹かれます。なんなら水路でも可。

きっとこれも坂があれば、上から下へと水の流れが生じることに起因するのでしょう。

つまりはそういう情景が好きなんですね。

そして、その場を通行する人たちをボーっと見ているだけでもいいかもしれませんね。

ちなみにこの本に出てくる町を舞台にした作品はほかにもあるとのことで酢ので、もう一度この世界を堪能するためにも購入して読んでみたいと思っています。


おわり

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