NHKドラマ 舟を編む を見て
言葉を知ると、日本語がもっと面白くなる。
相変わらずこのドラマシリーズが面白い。
今回のドラマシリーズは原作とは異なり、編集部の岸辺みどり(池田エライザ)が主人公。
ファッション誌から転属になった主人公が、辞書に一生懸命向き合う馬締(野田洋次郎)たちと辞書作りを通して、辞書作りに没頭していくストーリー。
原作もさることながら、今回は脚本が面白い。昨今、脚本が原作と全く異なることが問題になっているようにも思うが、よくぞ原作からこういう脚本をオリジナルで作れるものだと感心する。
結局は原作の世界観を壊さずに、面白い話が生まれればよいのかもしれない。
さらに、原作の著者である三浦しをん氏が、自分の原作より面白いといっているのも、またよい。ドラマと合わせて著者のブログを一緒に楽しめる。
三浦しをんさんのブログ↓
ビロウな話で恐縮です日記
https://blog.goo.ne.jp/below923
今回のドラマは、言ってみれば辞書界隈ではお祭り騒ぎの様子で、中型辞書を作っている大辞林や広辞苑の編集なんかも絡んでいて、そういうリアルにつながっている感じもいい。
私自身はというと、iPhoneのアプリに大辞林の第4版が入っており、重宝しているのに加えて、義父が持っていた広辞苑 第5版(最新版は7版)は紙の辞書で保有している。
これまで意識したことはなかったのだが、辞書は版によって語釈や取り上げられている言葉も変わっているらしく、こういったドラマを見てみると、最新版も欲しくなってしまう。
また辞書によって語釈の順番も違っており、広辞苑などはより本来の意味に近い順に語釈が並べられている。言葉のルーツを知る上では役に立つ反面、最も使われている意味を知るという点では、少し読み取りづらさがあったりする。
そういった辞書の個性が見えてきたのは、まさにこの舟を編むという作品を通してのことである。
また、今回のドラマで頻繁に取り上げられた言葉に「セレンディピティ」という言葉がある。
手元にある大辞林第4版では、以下のような語釈がある。
これは最近ビジネス界隈でも使われるアート(直感)の重要性にも通ずる話だろう。あらゆる人は何か一つの物事や出来事から別の物事を直感的に閃くことでブレイクスルーするきっかけを持ったりする。「セレンディピティ」は語感もよいし、意味自体も新しい出会いを感じさせるし、いい言葉だなと思う。
辞書に触れ、言葉に触れ、セレンディピティに触れる。
辞書を読んでいくことは、自分が何かを相手に伝えたい時に、より正確に伝えるための言葉を学べて、さらに新しい気づきを得られる。
作品にあるそういうメッセージと世界観を自分自身に取り入れられたらと思う。
追記:
娘(7歳)のこのドラマが大好きのようで、いつも辞書を片手に一緒にドラマを見ていたりしています。(写真は娘の辞書。)
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