「だまし絵」
すべてのこどもたちが 妊娠を覚える頃
重たいこうべを垂れ 身体は浮かび
キュビズムの歌を口ずさみながら
神さまの描かれた板に足を乗せる
恵まれた時代に産み落とされた
ぷにゃぷにゃの生き物 不幸な健常者
わたしがあなたたちに
いろはかるたを詠んであげよう
お手つきした子は白いお顔で
苦い粉を煎じて飲み干すの
遠巻きに見るその姿は
まるでヴァニタス トロンプルイユ
壁の穴を覗き込めば
幾千もの兵隊さんたち 赤とんぼ
夕陽に焼け落ちた あなたたちの親
せめて海が見えたなら
せめて光があったなら
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