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携帯電話の待ち受け画面を変更したら、母が泣いていた
母から待ち受け画面を変更して欲しいと頼まれた。
開くたびにどこかの美しい景色をランダムに表示する設定になっているのを、家族の写真がランダムで出るようにして欲しいとのことだった。定期的に交互にその設定をしていて、久しぶりに頼まれたから変更する方法を忘れてしまって30分ぐらいかかってしまった。
母に渡すと何度も開いて、その都度表示される写真を確認していた。
「なんでお兄ちゃんばかりなの?」と聞かれて、以前もそうだったと思うけど、、、一番多く入っているのがお兄ちゃんだからさ、その後に若かりし頃の父母のツーショットがあったり、子供の頃写真とか私も入ってるよ、と伝えている最中に全部見終わった。「(写真が)多すぎてよくわからない」とよくわからないことを言われて困惑していたら、母がタオルで目を押さえてた。
母は私の前でほとんど涙を見せないから、その姿を見てしまった私も涙がこぼれそうになってしまい、泣いていることを気が付かれないように携帯電話を母から受け取り、あまり兄の写真が入っていないフォルダを選択してランダム表示する設定に変更した。母も何事もなかったように携帯を受け取り、開いては閉じてを数回繰り返して携帯をテーブルの上に置いた。
「多すぎてよくわからない」という母の言葉はその言葉通りだったんだとあとから分かった。気持ちが追いつけず言葉にならなかったんだ。
私もそんな風にして涙してしまうことがあって、同じ用に母にもあることを目の当たりして、そんな姿を見るのは辛いけどそれと同時に同じ思いをしてるのは私だけじゃないと思えて心強くなる。そんな当たり前のこと目の前で見ないと感じられなかったんだと思うと情けない気持ちにもなる。でも、言葉ではない、無言のつながりが私を安心させてくれるのは確かだった。
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