見出し画像

毛虫

うちのミニバラに初めて見るシャクトリムシが付いていたので、何年かぶりに「博物誌」のことを思い出した。

花をモグモグ

ルナールの「博物誌」は訳文(あの岸田國士!)も挿絵も版権フリーになっていて青空文庫で読める。この中の「毛虫」の項には、バラと虫の様子が描かれている。

バラに付く虫はいろいろいるけど、「博物誌」の本文はヒトリガの幼虫を思わせる描写だ。

でっぷりとして、毛深くて、立派な毛皮にくるまって、栗色のからだには金色の斑点があり、その眼は黒々としている

博物誌

ところが挿絵はどう見ても毛虫じゃない。チュウレンジバチのように見えるし、足元と胴体の色分けからオオシロオビクロハバチかハスモンヨトウのようにも見える。この子たちはいずれも毛虫ではない。ルナールは挿絵に注文を付けなかったのだろうか。

オリジナル項題の「La Chenille」は、毛虫、芋虫、青虫の意味だそうで、英語のcaterpillarと同じだろう。日本語でもイモムシハンドブックに毛虫も載ってるから、イモムシと毛虫をひとまとめでも問題ないのかな。もっとも、ハバチはチョウや蛾とは違うのでイモムシハンドブックには未掲載。幼虫の見た目はイモムシなんだけどね。英語やフランス語では、鱗翅目とそれ以外を一般用語で区別してるのかな。frogとtodみたいに。

ところでうちのバラにいたシャクトリムシは誰なんだろう? ホソオビアシブトクチバとはちょっと違う気がする。