【ES対策:2/3】誰でもESが上手に書ける”最強フォーマット”: エピソードトークの「S.T.A.R.(スター)」って何?
前回に引き続き、誰でもESが上手に書ける”最強フォーマット”について、解説します。
前回の記事はこちらです。
今回は、全部で3つの章に渡る記事のうち、第2章にあたります。
ここでは、多くの就活生が失敗しがちな「ESでのエピソードトークの書き方」について、かなり具体的なフォーマットをご紹介します。
(1)はじめに
【1】”最強フォーマット”はこれだ!
まず、あらためて”最強フォーマット”をご紹介します。
【2】まず「ダメなESの典型例」を知る
更に、前回に引き続き、まずは典型的なダメESをご紹介します。
「悪くないんじゃない?」と思った方もいるかとおもいますが、僕はこのES、多くの企業で落ちると思います。
印象に残らないからです。
何故印象に残らないか?
それを”最強フォーマット”を紹介しながら見ていきます。
今回は、エピソード部分を書く上での最強フォーマット「S.T.A.R.」について解説します。
(2)そもそも「ダメESの典型パターン」は、どこがいけないのか?
まずは、先程挙げたESのエピソードの語り方について、何がいけなかったのかを確かめていきましょう。
具体的な問題点を3つ挙げます。
1)結局、自分個人の行動や考え方が具体的に書かれていない。
2)書いてある”要素”と、それを並べる”順番”がぐちゃぐちゃ。
3)ひとつのエピソードで伝えたいことが、ひとつに絞れていない。
それぞれ詳細にみていきましょう。
<問題点1>具体的な行動や考え方が書かれていない。
「チームごとに業務の分担と協力体制を敷き、挑戦し続け」と書いてありますが、
1) 「業務の分担と協力体制」って具体的に何?
2) 「挑戦し続け」って何に挑戦したの?
という具体的な個人の行動が書いていません。
だからどういう人柄なのかイメージできないのです…!
しかしこういうESが非常に多いのが現実です。
つまり、「挑戦」「協力」のような、なんとなく響きが良さげな言葉でフワッと逃げてしまい、「結局何したの?」という疑問が残ってしまう文章です。
これが悪いESの典型的失敗、ひとつ目です。
<問題点2>書くべき”要素”と”順番”がぐちゃぐちゃ
最後の最後になって、
「私の役割はリーダーの補佐とWeb記事のブラッシュアップで、」
という一文がいきなり出てきます。
これはこのエピソードを語る上で、本人の設定の大前提です。
それなのにそれが終盤になって突然出てくるので、「いやそれ書くなら最初に書けよ!」と思ってしまいます。
例えば名探偵コナンは、「コナンの中身が実は工藤新一」という前提を読者が知った上で読んでいるからこそ、コナンの前で蘭が泣く姿を見てギューン!と胸が締め付けられるわけです。
それなのに、その情報が無いままこのシーンを読まされたら、僕は小学館にクレームを入れかねません…!
しかし残念ながら、上記のようなパターンも、学生のESには大量に見受けられます。
更に、逆パターンとして、「事前に説明した状況が最後まで読み進めても結局何も関係なかった」というESも多々あります。どちらかというとこちらのほうが多いかも?
先程のESにもその失敗があります。
「会社のほとんどが学生で知識もない状態でのスタートでしたが」という一文がありました。しかし、
①”会社のほとんどが学生”だったこと
②”知識もない状態でのスタート”だったこと
は、後に続く文章のなかでひとつでも関係あったでしょうか?
全く関係ありません。
色々書きたくなる気持ちはわかります。
いかに大変な状況だったのか知ってもらいたい…
いかに低い状況から立て直したのか強調したい…
恐らくそういう欲張りな気持ちが、この一文を書かせたのでしょう。
しかし大人から見れば全く意味のない一文です。
いずれにしても、事前に書いておくべき情報/書かなくてもいい情報が何なのかが整理できていないと、こういうことになってしまいます。
これが学生のESにありがちな問題、ふたつめです。
<問題点3>ひとつのエピソードで伝えたいことが、ひとつに絞れていない。
そして最後の失敗ポイントは、最後の一文に隠されています。
「チームで協働することの重要性と難しさ、またサービスに対する責任感を肌身で経験しました。」
と書かれていた箇所です。
①チームで協働することの重要性
② 〃 難しさ
③サービスに対する責任
という3つを、駆け込み乗車のごとく詰め込んであるのですが、書けばその文字通りに認識してもらえると言うわけではありません。
逆の立場になって想像してください。
つまり、知らない人に話しかけられて「この人いいな」と思わされる立場、口説かれる立場です。
例えば皆さんが意中の女性の好きな男性のタイプが「優しい人」だとわかったからと言っても、初対面で隣に座って「はじめまして、私は優しい者です」と言えば、「そうなんですね!優しい人だ!素敵!」と思ってもらえるでしょうか。
そんな簡単に人柄が伝わるなら、僕は学生時代に彼女にあんなフラれ方を…(中略)
自分の人柄を示したいとき、それをズバリその通りの言葉で書くと嘘臭く聞こえてしまいます。
そのため、「僕は優しいです」と自分で言うのではなく、「優しい人だな」と”相手がおのずから感じてもらえる”ためには、2通りの方法で示すほかありません。
①”具体的エピソード”で示す
②”態度”で示す
①はESと面接の両方で、②は面接で大切です。
しかしそういったエピソードトークをするためには、ひとつの話題に対して十分な文字数を確保しないと表現出来ません。つまり、あれもこれも盛り込んでいる余裕なんてないのです。
そのため、ひとつの設問の中では、ひとつのエピソード。そこで示したい結論もひとつ。これが鉄則です。
(※ただし、もし「600〜800文字で書きなさい」といった特別に長く書ける設問の場合、二つくらい書ける可能性はあります。)
しかしこう話すと、「でも優しい一面だけじゃなくて、努力家だったり、理論家だったり、他の人柄もアピールしたいんです…!」という方が後を絶ちません。
その場合は、ひとつの設問に全部を盛り込むのではなく、複数ある設問ごとに分けて、異なるエピソードと結論を示すようにしましょう。
例えるなら、ESはあなたのテイストを示すお弁当のようなものです。
設問ごとに異なる具材がバランスよく入っていることが望ましいと思います。そして面接の場では、異なる面接官が、色とりどりの具材を見て、それぞれ好きなものから食べていくのです。
「努力家」が好きな面接官は努力家エピソードについて質問してきます。「理論家」が好きな面接官は理論家エピソードについて質問してきます。
しかしもし、どの設問を見ても、ひとつの中に努力家も理論家も優しさも無理矢理混ぜたような回答が書いてあると、どの面接官がどれを見ても美味しそうに見えません。「なんかわけわかんない弁当だな、買うのやめよ」となるわけです。
<まとめ>大抵のESの問題点はこれだ!
先程のESで指摘した3つの問題こそ、「悪いESの典型例」の代表格3選です。つまり、
だからこそ逆に、これら3点が解消された構成で書き続ければ、間違いなく「大人が納得する文章」になります。
つまり、以下の3点を満たした文章です:
これを明確にしたエピソードトークの”型”が、冒頭で書いた「S.T.A.R.」です。(やっと出てきた…!)
※正確に言うと、「S.T.A.R.」は構成の順番(上記のポイント2、3)だけを示しているので、それぞれ何文字ずつで書けばいいか(上記のポイント1)は、勝手な僕の考えです。
それではいよいよ「S.T.A.R.」の解説です!
(3)本題:エピソードトークの鉄則 「S.T.A.R.」とは
【1】これらの問題を解決する型、それが「S.T.A.R.」
「S.T.A.R.」とは、外資系企業の転職などでよく語られる「面接で過去のエピソードを話す際の理想的な構成」です。
【S】Situation(状況):どんな状況で
【T】Task(課題) :何を達成しようとして
【A】Action(行動) :どんな行動をしたのか
【R】Result(結果) :その結果どうなったか
の略です。
この内容・順番で伝えると、聴き手は話の意味を理解しやすいのです。
なので必ず「S.T.A.R.」の順を守ってください。
そしてこの「S.T.A.R.」を使いこなすうえで、重要なポイントをいくつかお伝えします。
それでは更に詳細に解説します。
【2】 S.T.A.R. の文字数配分
S.T.A.R. の中で、特に重要な箇所と、極力短く済ませるべき箇所はどこでしょうか?多くの学生がこれを間違えます。
■4つの中で最も大切なのは間違いなく「A:Action(行動)」
一番大切なのは、圧倒的に「A: Action(行動)」です!
しかし多くの学生が、「S: Situation (状況説明)」ばかり長くなってしまうのです。その結果、肝心のA (行動) が短くなってしまうのです。
これを防ぐためには、S.T.A.R.全体の文章量のうち、それぞれの文字数の目安を事前に決めておくことが有効です。
特に【A】は、少なくとも半分以上は使えないといけないでしょう。
具体的な文字数でいえば、仮に前述の通り、[最初の結論]/[最後の結論]がそれぞれ35~45文字だとして、このふたつの合計で80文字程度は奪われてしまうとします。
300文字でS, T, R を短く書けるようになければ、400文字に設問に対してもそれをそのまま使うことで、逆に A については長く書く文字数が確保できると思います。そのため、400文字の場合のほうが S, T, A を短く書く余裕があるので、目安の文字数より短く書けてしまうかもしれません。
しかしこの文字数はあくまで目安なので、1文字たりともズレずにこの文字数で書くことを目指していただくことが目的ではありません。そこはご心配なさらないでください。
ちなみに【200文字】パターンについては、前提として、[最後の結論]を書く文字数的余裕はないでしょう。なので思い切って削ります。
さらに、全体の文字数が少ない分、300文字や400文字のときと同じ比率でSTARを書くことは出来ないので、仕方ありませんがAの比率を50%程度までさげます。その分を他の箇所に分散させます。
そして[最初の結論]に、仮に40文字必要だとします。すると
となります。
【3】 STARのそれぞれで書くべき内容を更に見ていくと…
STARについて話すべきことは他にもたくさんあります。
しかしここで書き切ろうとすると、巻物のごとく長くなってしまうので、次回の具体的添削プロセス大公開の記事で触れようと思います。
【4】冒頭のESを「S.T.A.R.」と比較してみると…
それでは冒頭で記載した学生のES(学生時代に頑張ったこと)を、最強フォーマットに当てはめて文字数のバランスをチェックしてみましょう!
※先程触れた「それ先に言えよ!」の箇所だけ、事前に前に動かしてしまいました。(赤字部分)
左側に理想の文字数配分、右側に現在の文字数が表示されるエクセルを用意しました。更に、その文字数に応じてコメントが表示されるように設定もしてあります。
ご覧いただいてお分かりの通り、余計な箇所が長く、肝心のアクション箇所が極端に短いことがわかります。
さぁ、それではこれをどうやって理想の文字数にはまるように修正していけば良いのでしょうか?
早速添削にとりかかりたいところですが、ウルトラ長文になってしまっているので、今日のところは一旦ここまでにします。
(4)次回予告
次回は、このフォーマットを使って、”通るES”に修正していく考え方の過程を公開したいと思います。
そして特別に、ここまでご覧いただいた皆様には、先に添削後のESを御覧いただきたいと思います。
いかがでしょうか?
最初の状態よりも、話もわかりやすく、人柄のイメージもできる文章になっていないでしょうか。
ただし、これをご覧いただいている皆様にとって大事なことは、
「この修正案が良いか/悪いか」
ではなく、
「自分ひとりでも同じように修正できるかどうか」
であるはずです。
そこで次回は、この”最強フォーマット”を使いこなすうえでのテクニックをお伝えしつつ、いかにして最初の状態から完成形まで修正が行われたのかを詳細に解説していきます。
それではまた!