映画「ソウルの春」「ボストン1947」
「ソウルの春」1970年代末に韓国民主主義の存亡を揺るがした実在の事件を基にフィクションを交えながら映画化し、韓国で2023年の観客動員数第1位となる大ヒットを記録したドラマ。と、映画紹介文に書いてあった。韓国映画を観る中で常々思うのは、歴史を勉強しなければならないな、ということ。私は何も知らないではないか、という事だ。
まず「善と悪」が明確に描かれている事で、見やすさがある。知らずしらずのうちに、「善」を応援してしまうが、そこは史実に基づいた描き方をしているので、手に汗を握る展開。出演者のことを「おじさんの詰め合わせ」などと、揶揄されるがしかし、そのおじさまたちは芸達者ばかりなので、電話での通話シーンなど、演技が上手くない人だと長尺もたない場面も魅せていく。
ゲスト出演かと思われるチョン・ヘインが魅せる
ほんの数分の場面で、「よく奢ってくれる綺麗なお姉さん」のチョン・ヘインが出て来る。並いるおじさま方の中でひときわ目立つ童顔でもって、私の涙をかっさらっていった。まるで少年のようにまっさらな心で、上司を敬い庇いながら倒れた。彼は年上の中でこそ持って生まれた良さが際立つ。
男前チョン・ウソンの「善」怪演ファン・ジョンミンの「悪」
対比として2人が、特徴的に描かれている。やはりチョン・ウソンは何をしても応援してしまう。ファン・ジョンミンはしたたかで巧みで恐ろしい。それらを併せ持った人物像を、見事に構築していた。この2人の重厚さが凄まじい展開を支えている。
「未生」のイ・ソンミン、パク・ヘジュンが魅せる
「未生」に出ていた俳優さんは今も皆活躍している。イ・ソンミンにしか出せない哀愁やまっすぐさ真摯さみたいなものがある。パク・ヘジュンも腹に一物持っている人物を演じ「ハナ会」の中枢を担う役割を見事に演じ切っていた。
とにかく手に汗握る展開の中、えっそんな〜う、うそでしょう、、、というエンディングだが、そこでやはり歴史が出てくる。無知で居ることをもうやめたい。そんな風に思っていたら「ボストン1964」がやってきた。
「ボストン1947」
「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督が、祖国への思いを胸に命懸けのレースに挑むマラソン選手たちの姿を実話に基づいて描いたヒューマンドラマ。
この作品も「未生」に出演していたイム・シワンが出ている。今更ながら「未生」良かったし、また見たいなと思う。気づきや感動が半端ない作品だ。働いていると特にわかることが満載だ。
誰が何と言おうと私が応援するよ、という気持ちになるイム・シワンは体脂肪6パーセントまで落として臨んだそうだ。台詞少なめでも体当たりで魅せる!
ハ・ジョンウの何かを諦めかけた表情、ぺ・ソンウの人情と明るさ、キム・サンホの異国で切磋琢磨しつつも持ち合わせたユニークさで全体を和ませていく様、全てのバランスが絶妙で。史実も知っておかなくてはいけない、そして、エンドロールまでが、見逃せない。感動という言葉では括れない何かがあった。