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カコタム軽音部の思い出


NPO法人Kacotamには、かつて「カコタ部」という部活動がありました。
写真部、軽音部、イラストサークルの3つがあり、僕は軽音部の部長として、約2年間、活動をしていました。


今日は、軽音部立ち上げの経緯と、当時僕が感じていた想いについて、書こうと思います。

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きっかけは、とある拠点に置いてあった、1本のアコースティックギターでした。

ある日のお菓子タイムの時、気まぐれでそのアコギをつま弾いたことがありました。

すると子どもたちが集まってきて、ギターの弾き方を教えてほしい、とせがまれました。

ドレミファソの押さえ方を示し、「カエルの歌」を教えました。

次の週にも子どもたちが僕を囲んだので、今度はCとGのコードを教えました。

教えながら、自分も少年期に、父から同じようにギターを習ったことを思い出していました。

僕は、父に教わってギターに出会えたことで、少なからず人生が変わった。

自分のまわりに集まってきた子たちの目はキラキラとしていて、もしかして自分は今、彼らの世界の扉をほんの少しだけ開ける行為をしたのではないか、と思いました。

生まれた環境によって、例えば「父親にギターを教わる」という機会がない子たちに、自分は何かができるのではないか。

独善的だったとしても、それはワクワクする考えでした。

翌年、ゆるきちがオープンしたとき、所持していたアコギを1本、寄贈しました。

そこを訪れたとき、興味があればいつでもギターを弾くことができる、そんな環境を作りたかったからです。

その縁もあって、その後ゆるきちで、子ども向けの「ギター教室」を開催することになりました。

予想以上に参加希望者が集まり、ノウハウもない中で試行錯誤しながら、集まってくれた4人のメンバーとともに企画を作り上げ、全4回に及んだギター教室は盛況のうちに終了しました。

もっとうまくなりたい、という声や、ギター以外の楽器を弾いてみたい、という声も挙がり、この企画の成功とさらなる可能性を実感しました。

そんなこともあって、半年後に、「好き・興味を継続的に深める場」として部活動事業が始まることになったとき、僕が「軽音部」の立ち上げを提唱し自ら推進していったのは、自然な流れでした。

札幌市内の音楽スタジオを開拓し、子ども向けの練習カリキュラムを考え、ルールや運営規則を整備し、叩いたことのなかったドラムを猛練習し、練習日程調整をし、ライブの企画をし…、決して楽なことばかりではありませんでしたが、それはもうワクワクするような時間を過ごせました。

なにより、恐ろしい吸収力で演奏スキルが上達し、活動を楽しみに来てくれる子どもたちの様子を間近で見ることができたことが、本当に楽しかった。

2年間はあっという間でした。

参加してくれた子たちは立派なバンドマンに成長し、中には文化祭で有志バンドを組んで演奏したと報告してくれる子もいました。バンド演奏をするという夢を叶えることができたと感謝の気持ちを伝えてくれた子もいました。
彼ら彼女らが自立し、軽音部としてのミッションを達成できたと判断したことから、2019年4月に、軽音部の活動は終了することを決めました。

最後のライブで子どもたちから貰った感動は、筆舌に尽くせません。
最高の経験を、させてもらいました。

そんな、思い出話でした。

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付記

2019年4月に、その役割を果たしたとして活動は終了しましたが、今も、カコタ部で関わった子どものなかには「趣味」として個々人で活動を続けてくれている人もいます。

下記の記事のライターの女性も、そんなひとりです。

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