【読書録】 Good Girls and Wicked Witches
Amy M. Davis著 Good Girls and Wicked Witches: Women in Disney's Feature Animation
を読んだ。
洋書を読むのに不慣れなものだから、読み通すのにすごく時間がかかった。こんなことではダメだなあと思うのでもっとスラスラ読めるよう頑張りたい。この本はだいぶ読みやすい英語で書いてあるのでわりと初心者向けのような気もする。
内容としては、ディズニー長編アニメ映画の女性キャラクター像の変遷を最初期から2001年まで一人一人丹念に追って分析している。
プリンセス映画はだいたい観ていたけれど、それ以外は観たことのない作品もたくさんあり、観ながら読むという感じだった。勉強になった。
「ディズニー映画の女の子は受動的で王子様を夢見て信じて待っているばかり」というネガティブな固定観念が一般に流布していることへの反論という形で書かれたもので、アメリカでのアニメ映画産業の黎明期の状況やアニメ映画以外の文化や映画史における女性表象についても触れつつ、ディズニーアニメのヒロインや悪女などを分類しつつ論じている。
個人的には最初期のディズニーアニメにも「優しい働き者な美少女」でないヒロインがいたということ(カトリーナ・ヴァン・タッセルやスルーフット・スー)が意外で面白かった。あまり有名な作品ではないから知らなかったのだけども。
あと、ディズニーアニメ映画ではSisterhood(女性同士の絆や連帯)が描かれてこなかったという指摘はやはり重要。この本は2006年に書かれて、扱っているのは2001年までの作品なので、確かにその頃までのディズニーはだいたいそうだったなと思う。(例外は著者も挙げてる『ポカホンタス』(1995)くらい)
『プリンセスと魔法のキス』(2009)のヒロインティアナには親友シャーロットがいて、彼女は最後には自分の夢を諦めてまでティアナを助けてくれる。突っ込みどころのある作品ではあるけど、この辺りは新しいと思った。その後も『アナと雪の女王』での姉妹愛は知っての通りだし、この間の『アラジン』実写版でジャスミンの侍女ダリアが追加されたのもその辺り意識したのかなと思う。とはいえ今でも孤独な女の子が逆境や困難の中で頑張るのを世慣れた男がサポートする系の話は多いよね。
これまで観たことなかったけどこの本を読むために観た作品の中で意外と面白かったのは『トレジャー・プラネット』と『ラマになった王様』。どちらもちょっと素行や性格に問題のある青年が冒険を経て更生するという話なんだけど、その過程で彼を導きサポートするのが父親的なおじさんキャラなんです。
『ラマになった王様』なんかは特にワガママの限りを尽くす思いやりのない王様がラマに変えられてしまうという、ある程度『美女と野獣』と似た設定なんだけど、彼の良心を目覚めさせるのに必要なのは美女との恋愛ではなくおじさんとの協力というのがなんか説得力あって好き。
『美女と野獣』はその辺今ひとつ納得いかないんですよね。もともと美しい物好きなワガママ王子が辛抱強い美女に優しくされて好きになって、本当に思いやりや人の内面を重視する大切さを学べるのか?って思っちゃう。
今は同じ著者が今度は男性キャラクターについて考察しているHandsome Heroes and Vile Villains: Men in Disney's Feature Animationを読んでいます。他にもいろいろ読まなきゃなのでサクッと読んでしまいたい。