論理スキル・“実践編”はじまりました(T3:Pt1:Ch02)
(推論の形を知って、論理のスキルを伸ばしていきましょう、というお話)
“実践編”のテーマ
AGEST社の品質メディアSqriptsでの連載・「テストエンジニアのための論理スキル[再]入門」は、おかげさまで完走しました。
4月から「テストエンジニアのための論理スキル[実践編]」と題して書かせていただいています(リンクは第1回記事)。
(「論理のスキル」って何、といったことは、拙稿「論理スキル・“入門編”のこと (T3:Pt1:Ch01)」に記しています。ぜひご覧ください)
“入門編”では、二値論理とか論理演算とかを知らない(教わったことがない)人向けに、基本的な論理の言葉――“かつ”(“および”)、“または”、否定(これらはプログラムにおけるAND/OR/NOTの論理演算でもあります)、条件を表す“ならば”――の意味/働きを解説しました。
“実践編”は、「論理の言葉の先」として「論理の言葉を使って論理を操るスキル」を取り上げる内容になっています。先の拙稿で「考えの筋道を立てるためのルール」と言っているテーマです。
推論 ―― 論理を操るスキル
ソフトウェアの仕事でも、人が書いた文章を読んだり、自分で長めの文章を書くことはたくさんあります。要件文書を始めとするテストベース、プロジェクト計画書やテスト計画書、不具合チケットやテスト結果報告書、あるいは顧客向けの提案書や社内向けの企画書……
仕事で書かれる文や文章は、その長短によらず、何か「伝えたいこと」があります。最終的に伝えたいこと(結論)だけではなくて、なぜそれを伝えたいのか、なぜそれが結論になるのかといった理由や根拠も必要になるのが普通です。
理由や根拠から結論まで、伝えたいことの筋道を組み立てることを 推論(演繹的推論) といいますが、正しく、無理や飛躍がない筋道を組み立てるには 妥当な(論理的に正しい)推論をすることも大切です。それには“入門編”で出てきた論理の言葉が欠かせません。
論理の言葉を正しく・上手に使うために
“実践編”では、話の筋道の組み立てやチェックを助けてくれる 演繹的推論における基本的な推論の形 を紹介していければと考えています。
いずれもつい最近編み出されたようなものではなく(当然筆者が考案したわけでもなく)、2,000年以上の伝統を持つ形です。
論理の言葉は覚えた(けどまだうまく使える自信はない)という人に特にお勧めです。
論理の言葉は、覚えただけでは(知識止まりでは)あまり嬉しいものではなくて、実際に使いこなせて(スキルとなって)こそ意味があります。
でも、使い慣れないうちは、論理の言葉の使い方が正しいかどうか迷うこともあるでしょう。
基本的な推論の形を覚えれば自動的に論理の言葉を正しく上手に使いこなせる、というわけではありませんが、これらの形を覚え、使ってみることは論理の言葉の習熟を助けてくれるでしょう。“実践編”で紹介する推論の形は論理の言葉の性質や働きをよく踏まえており、その妥当性が保証されているものばかりだからです。
また、基本的な推論の形を覚えれば自動的に「正しく、無理や飛躍のない話の筋道を組み立てられる」わけでもありませんが(そもそもの前提や根拠、結論が正しくなければいけませんし……)、知っておけば、文章の読み書き(筋道の把握や組み立て)を助けてくれるのは間違いありません。
「テストエンジニアのための論理スキル[実践編]」、AGEST社Sqriptsで連載中です。楽しんでいただけたら嬉しいです。
(2024-04-24 R001)