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GLOCOM豊福先生に聴く、「どうなる? AIと教育」(1)

毎月専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。


今回からの対談は、国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター准教授・主幹研究員の豊福 晋平先生にお願いしている。

豊福先生とは、かつてMIAUがダウンロード違法化について頻繁にシンポジウムをやっていたときに、GLOCOMのセミナールームをお借りしたりしていた時代からの知り合いである。教育学の専門家で、主に北欧における1人1台学習者端末の普及の研究をされてきた。

その関係でGIGAスクール構想には大きくご尽力いただいたわけだが、近年はデジタル・シティズンシップについて研究会を立ち上げ、今はそちらをメインに研究をされている。

1人1台端末ということでは、GIGAスクールの成果も気になるところではあるが、今最もホットなのは、AIを教育にどう活かせるのかという話である。それなら教育情報化の専門家である豊福先生に話を聴くのが一番早い、というわけである。(全5回予定)



小寺:実は以前から先生にはGIGAスクールの成果というお話を伺おうと思ってたんですけど、やはりAIというものが教育と関係していくんじゃないかということが、世間でも広く問われるようになってきて。この話を伺うなら豊福先生だろうと思って、今回お願いしたわけなんですけど。

喫緊の話題としては、文科省が学校のAI利用について指針を出したということで、まず印象を率直に教えていただけますか。

・「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」の 作成について(通知)

https://www.mext.go.jp/content/20230704-mxt_shuukyo02-000003278_003.pdf

豊福:うん。ライフイズテックの讃井(康智)さんがとっとと解説を書いて、「うん、その通りだよね」と思ったんですけど。

最初議論が始まった時は、結構厳しめの制限とか禁止に傾くんじゃないかって、その懸念をわりとこの界隈の人たちは言ってました。ただ、それから見ると、そういう利用抑制とか禁止っていうものをしない、ということを一応謳っているので、その点は一定の評価はあっていいかな、という話と。あとAI自体がどんどん変化してるので、それを暫定版として置いといて、適宜見直しますよ、と言ってるところも大きい。

小寺:うん。確かに。

豊福:あとは、学校の先生たちが使うにあたっての、細かいところも含めて、いろんな質問に当たるようなものが入ってるのも、これもよくヒアリングしたし、まとめたなっていう気はします。

小寺:これ、出る前に「細かいところは現場に丸投げ」みたいな格好のガイドラインが出たら困るな、というのを懸念してたんですけど、意外によくまとまってるというものが出てきて、ま、若干ほっとしたというのが、僕的にも正直なところであります。

豊福:ただね、そのレベルで終わっちゃうと、他の言ってる人と同じになっちゃうんで、ちょっとやっぱり斜めから見る必要があるかなと思って、一晩考えました。

小寺:考えた(笑)。

豊福:そこはですね、デジタル・シティズンシップというところと関わる部分です。小寺さんも、携帯電話を持たせんのはいいの悪いの?という話を、本で書いてるじゃないですか。あれの流れなんですよ、基本的にはね。

で、僕らは、やっぱりテクノロジーは自分の道具にしてほしいし、もっと踏み込んで言うと自分の武器にしてほしいので、そのために教育がどう関わるのか?という話から、軸足はそこに置きたい。

小寺:はい。

豊福:で、そこで見た時に、本当にこれは子供のためになるの?というのは、ちょっといろいろ疑問符つくね、と思いました。この話はまたあとでしていこうと思いますけど。

■喫緊の課題は、この夏休み

小寺:ガイドラインでは段階的に生徒には教えていきなさいよということで、まずはAIそのものの仕組みを教えるところから始まって。そこから段階的に利用させていきましょうみたいな流れになってると思うんですけど。

このタイミングで出たということはですね、やはり、この夏休み中の課題に対しての利用を懸念してるところはあるんだろうなという気がするんですね。確かに、AIとはなんぞやというところから教えていくのは、教育としては筋であり、AIを使う意味でも基本だと思うんですけど、夏休みってもう7月20日ぐらいから始まっていくので。

豊福:もう始まっちゃうんですね。

小寺:はい。もう、AIとはなんぞや、みたいなことをどの教科でどう教えてっていうのは、もうこの夏休みに間に合わないと思うんです。

豊福:うん、間に合わない。

小寺:それを踏まえると、学校ではこの夏休みはどのようにしろと指導てくると予想されますかね。

豊福:ああー……ここはね、たぶん後で文脈整理しないといけないと思ってるんですけど。

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