5.Iga血管炎疑い 入院1日目

内科病棟に入院が決まり、私はもちろんだが家族もすごく安心していた。
日に日に弱っていく私を、とても心配してくれていた。
確かに夜中、私が寝床にしていたリビングに何度も夫が私の様子を見に来てくれていた。
子供たちもいつも私の足の斑点が増えていないか確認してくれていた。
父や母からの安否確認のLINEもたくさんきていた。
私より家族の方が眠れない日々が続いていたようだ。
自分が心配をかけないようにと我慢していた行動は、家族に逆に心配をかけていたのだと反省した。

15時頃、病棟へ救急外来のベッドのまま移動し、入院となった。
入院後再び痛みが強くなり、痛み止めをしてもらった。
こんな休日に入院とかすいませんという気持ちでいっぱいだったが、
迎えてくれた看護師さん達はとても優しかった。

Ns.「我慢しすぎやよ。もうちょっと早く来やな大変なことになっとるよー。痛くなってきたりしたら、すぐに言ってね。」
と声をかけてくれた。
ありがたい。
本当に白衣の天使や。

私は自分の立場が患者であるときは、元看護師であることは言わないようにしている。
看護師さん達がやりづらくなるのわかってるから。
私も看護師として働いている時は、やっぱり看護師さん相手だと緊張したしやりづらく感じていたから。

今回も絶対バレないようにしよう。
そう心に決めていた。
実際、今は看護師の仕事はしていないので、問診票の職業欄も会社員でOK。
専門用語は使わない。
私は女優だ。
完璧に演じよう。
徹底するつもりだった。

だが、すぐにバレてしまう。
夕方になると、
「久しぶりー。ちょっとどうしたんよー。」
と、大学時代の友人が白衣で現れる。
あ、確かに私が卒業した大学からの就職先で1番多かったのはこの病院。
大学時代の看護師の友人に即バレる。

それだけではなかった。
様子を見に来たDr.。
何か見たことがある気がする。
高校の同級生や。
「あれ、やっぱりそうや。久しぶりやなー。看護師やったよな?」
また即バレる。

さらには薬剤師。
「同じ高校やったよな~。覚えてる?あれ?看護師やったよな?」

大学の友人はともかく、高校の友人もみんな私が看護師になったと知っている。
私はどうやら学生時代に看護師になると公言していたらしい。
何か恥ずかしくなってきた。

なんだか段々と高校と大学の同窓会のようになってきた。
患者と医療従事者の皆さんですが。
私、だいぶひどい顔してますが。
寝起きのボサボサヘアーですが。
GUのパジャマですが。
キラキラした同級生との再会を果たすのなら、せめてジェラピケの部屋着にしておくべきだった。

まさか10年以上ぶりの再会がこんな感じになるなんて。
入院してすぐに院内全体に私が入院したことがバレている・・・電子カルテの怖さを感じた。

1人1人に「看護師やって言わんといてな。」と念をおしたが、次にやってきた看護師の友人には
「カルテにもう元看護師って書かれとるで。」
と・・・瞬殺。
バレるのが早すぎする。
犯人は誰だ。
容疑者が多すぎる。

もうこうなったら開き直るしかない。
看護師であることを、いい方に使っていこう。
そこで、医師と看護師の許可を得て、私は入院中の点滴の管理を自分ですることにした。
輸液ポンプが鳴っても、ナースコールなんて押さない。
閉塞や気泡なんて自分で何とかできる。
滴下速度がずれてこれば自分で調整。
自分で自分を看護する変な患者になることになった。
あ!これは、私と友人達の信頼関係があったからできただけなので、まねしちゃダメです。

痛み止めがきれてこれば、やっぱり痛みが出てくる。
同時に熱も出てくる。
20:00には痛みが強くなってきたが、その日に使える痛み止めの量も決まっているので我慢し、21:30には限界がきて使ってもらった。
そこからしばらくは大丈夫だったが、日付が変わり2:40頃にまた強い痛みで目が覚める。
お腹全体がねじれるように痛い。
3:00に痛み止めを使用する。

痛みがおさまっている間に、痛み止めの使用時間や症状をとりあえず携帯にメモする。
気がつけば、完全に看護記録になっていた。
職業病発揮。
ゆっくり休めばいいのに。
自分の性格にあきれながらも、この記録が後々誰かの役に立つかもと思い、頑張ってメモをする。

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