記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【映画感想】パレード

※ネタバレ注意※

 特に前情報を入れずに、ネットフリックスで視聴。

 毎回、Netflixプレゼンツでは思うことだけど、とにかく画が綺麗だなと。
セットや映像にお金がかけられてるのが良くわかるし、本作についてはセンスも良いと思った。主要メンバーが集う集会所は、現実とファンタジーの境目を漂っているような幻想的な佇まい。廃観覧車もバーカウンターも映画館もぼくのツボに刺さった。これらのセットがエンディング時には廃墟となる演出も、退廃的で美しい。

 一方、設定やシナリオは少々粗が目立つ、と言わざるを得ない。それぞれ集会所に呼び寄せられた人々は各々の目的を果たすと成仏(?)していくが、明確な線引きがされているわけではない。”田中さん”が連れていくルールのようだが、それも説明されているわけでもなく、延長も可能?だったりとよく分からない。加えて、タイトルにもなっている月1回のパレードも、どうやって探し人をしているのか、またどうやって見つけているのかも不明だ。ただ、パレードの演出自体は切なくも煌びやかで、目には楽しい…。

 本作の楽しみ方としては、画面を、ライブ感を堪能するのが良いのではないかと思う。
 残念だと思うのが、映画一本では、時間が限られてしまう。その中で主要人物を深堀するのはどうしても難しいのではないか。連続ドラマのような形式で一話一人ずつに焦点を当てていけば、もっと味わい深いものになった気もする。
 また本作では冒頭部分を含め、東日本大震災を取り上げてはいるものの、主要テーマというわけではない。それ自体をどうの言うわけではないものの、震災を味付けに使用しているのではないかと思う人が出てきても不思議ではないだろう。震災はデリケートなテーマであり、それに対する感じ方は人によって異なる。それだけに難しい題材であると思う。

 主要人物の中で個人的に特に良かったと思ったのが寺島しのぶだ。出演者の中でも演技力が抜けていたと思うし、彼女が残された家族を見つめるシーンでは、ぼくも思わず亡くなった祖母を思い出してしまった。もし祖母がこのように、家族を見守ってくれてたらいいな、と思う。それは、生きている人間のエゴなのかもしれない。けれど、生きている人間が亡くなった人間に対して何かを求めてしまうのは決して悪いことではないとも思うのである。





いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集