不登校エッセイ#3 学ランなんて脱いじゃえば?
学ランなんて脱いじゃえば?
中学校に入学してから数日後
息子が顔を真っ赤にして帰宅した。
「どうしたの?」
「暑くてのぼせた」
「学ラン脱げばいいのに」
「脱いじゃいけないんだよ」
真面目な息子。
規則には従うタイプ。
本人がそういうならガマンするしかない。
また別の日。
汗だくで息子が帰宅した。
首元までキッチリとめた詰襟が苦しそう。
「前を開けたら?」
「開けちゃダメなんだよ」
そしてゴールデンウイーク前のとある日。
「お母さん、半袖のシャツある?」
「あー、まだ買ってなかった」
「もうみんな半袖着てるよ」
しまった!
夏前に買うつもりでまだそろえていなかった。
長袖をまくってしばらくガマンしてもらおう。
すると驚愕の答えが返ってきた。
「袖をまくっちゃいけないんだよ」
「ホントに?」
「うん。先生が言ってた」
私はあわてて半袖シャツを買いに走った。
カッコいいと思っていた学ランだけど。
上着を脱いではいけない
ボタンを開けてはいけない
袖をまくってはいけない
軍服を思わせるそれが窮屈としか思えなくなった。
中学2年の夏休み明けから完全不登校になった息子。
学ランを着ることもなくなったけれど。
汗だくの中学生を見るたびに思う。
学ランなんて脱いじゃえば?
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