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1970's TOKYO 2

写真雑誌への売り込み


70年代は、写真雑誌の黄金時代。なかでも新聞社系の2誌はステータスが高かった。アサヒカメラにカメラ毎日、大衆的なのがアサヒで少しとんがってるのが毎日、ここは毎日だと、お調子者の私は、早速売り込みにいった。

毎日新聞の本社は、今でもそうだと思うが、竹橋にある。地下鉄降りたらそのまま毎日のビル、デカイ、これが毎日新聞のビルか、いつも行ってるしょぼい雑誌社の100倍はある。少し気持ちを落ち着け様と、地下のコーヒーショップに行くと、ここがまたかっこいい、通りのこっちから、向こうの通りまで、縦長の作りになっている。なんかアメリカ映画で見たみたい、なんてかなり気後れしながらも、やっとカメラ毎日の編集部にたどりつく。


担当の編集者はあきらかに機嫌が悪い、この忙しいのに何しに来たんだと、言わんばかり。こちらもアポ取って来てるんだから、もうすこしやさしくしてくれてもと思うから、段々気分が悪くなる。これは後に、自分で雑誌を作り始めて分かる事だが、どんなにいそがしくても、読者は大事なのだ。会いたいと言われたら時間は作る。

そんなこんなで私が持って来た写真をさっさと見るや、机の上に放り出した。その内の何枚かが床の上にパラパラと落ち、それを拾い上げる惨めさ。確かに写真
始めて半年で、天下のカメラ毎日に持ち込む方もあんまりだが、それにしても冷たすぎる。さっさと追い出された私は、帰りのドアを開けながら、こうつぶやい
た。こんな雑誌潰れればいい。それからしばらくカメラ毎日は廃刊になった。


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