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桜田
2020年6月3日 15:22
いてててて、ちょっと、ちょっと休憩、ね、ごめんね、と岸さんは上体を預けてきた。顔を歪めて、申し訳なさそうな曖昧な笑みを浮かべ汗を滝のように流している。岸さんが"こういうこと"の際に汗を滝のように流すのはいつものことなので、岸さんの眼鏡の縁をつたってぽとぽと私の顔に落ちてくる汗が"こういうこと"をした成果なのか痛みの成果なのかは、よく分からなかった。私たちは縦にくっついていた体を一旦離して、横になっ
2020年5月1日 14:25
10月暮れの、夕日が透き通る暖かい水曜日のことでした。先刻生協で買ってきたばかりの柿をさっと水で濯いでベッドでそのまましゃぶりついていると、足下から白蛇がしゃなり、と出てきました。白蛇はそのままベッドの周りをぐるりと回り、お台所の方へと行きました。しばらくするとまた戻ってきて、今度は私の前で半身を反り立たせ「しゃあ」と言いました。白蛇の全長は私の指先から肘くらいまで、太さはピンポン玉くらいです