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内向型を「知る」だけでなく、「整え」「活かす」という発想/『世界一やさしい内向型の教科書』感想

こんにちは。シマヤです。
今回は『世界一やさしい内向型の教科書』という本について綴っていきます。

実は以前にも個人ブログの方でこの本に対する感想を書かせていただいたのですが…。(ブログ記事はこちら
世界文化社さまが夏の読書感想文を募集中のことで。折角ですし、この機会に参加させていただこうかと思います。

そもそもブログでは軽く触れさせていただいただけだったので、今回改めて読み直しつつ、もう少し深掘りしながらわたしなりの感想を綴っていけたらと思います。



「内向型」と呼ばれる人たちがいるということ

わたしは正直、この本で初めて「内向型」という存在を認識しました。
巷で話題の診断などで、自分がどちら寄りなのか?ということは結果として知っていましたが…それは単に「社交的か引っ込み思案か」という性格のニュアンス程度の認識でしかなかったのです。

ちなみに内向型に似た言葉として「繊細さん」…つまり「HSP」に関しては本などでもよく見かけていたため、それらを参考にしながら自分でもHSS型HSPの気質がありそうだ、なんて感じてはいました。

そんな中に現れた「内向型」。
まず最初に思ったのは、「HSP」とは違うのか?ということ。

この『内向型の教科書』著書の井上ゆかりさん曰く、「内向型」と「HSP」は違うのだそうです。
例えばHSPは「自分と他人の境界線があいまい」なのだとか。
確かに言われてみれば、誰かが怒られていると自分も怒られているような居心地の悪さを感じますし…映画を観ていて登場人物が近しい人を亡くしたりすると、まるで自分のことのように涙があふれてきます。

でも内向型は必ずしもそういうことが起きるわけではないのだとか。
わたしは両方の気質に当てはまってしまっているので比較はできないのですが…これまで単にHSS型HSP(恐らく)だと思っていただけに、更に内向型でもある、というのは新たな発見でした。


内向型は「直すべき短所」?

この世界は「外向型」の人々の基準で物事が進みます。
子どもの頃から集団に馴染むことを強いられ、それを良しとする環境に身を置くことが当然のこの世界。

なので、「内向型」の人たちも無理にでもそう在ろうとしてしまいます。
でないと世界に自分だけが取り残されてしまうから。

つまり、「内向型」は「直すべき短所」なのか?

井上さんは本書の中で、「内向型を直そうとすると自己否定が加速する」と綴っています。
なぜなら、そもそも内向型の人たちは自分に厳しい傾向があり、努力が足りないと自分を追い込みがちだから。

気質によるものゆえにそう簡単には直せない自分の内向型について、努力が足りないからと自分で追い込んでしまうと、心身の調子を崩して回復に時間がかかる事態となってしまうのです。
(ま…まさに今のわたしの状況だ……)

そうならないためにも、内向型を直そうとするのではなく「受け入れ、活かす」方向に舵を切ることが大切だという考え方に、わたし自身救われたような気持ちになりました。


内向型を「知り」「整え」「活かす」ということ

『内向型の教科書』では、「知る」だけでなく「整え」て「活かす」までのステップを、具体的なワークと共に詳細に示してくださっています。

特に「新しいな…」と思ったのがこの「整える」のステップで。
内向型の人たちはそもそも頑張りすぎているのにその自覚がない(あるいは自分で自分を誤魔化している)パターンが多いので、これ以上頑張る前にまずは「自分をゆるめる」過程が必要なのだそう。

でも言われてみれば確かにそうだな、と。そもそも余裕がなければ、自分を活かそうにも視野が狭くなって、結局負のループに陥りかねませんし…(私自身経験済)。

そんな「整える」過程について、具体的にどこを整えていけばいいのか?
そしてどんな風に整えていくか?という部分を、本書ではスモールステップ化しながらとても取り組みやすい形で説明してくださっているのも特徴だと思います。

個人的には、「心を整える」部分での「認知の歪み」についての項目が勉強になりました。
物事の捉え方の偏りを10パターンに分けて説明したものなのですが、特に「何となくモヤモヤしている…」なんてネガティブ思考に引っ張られている時に、自分がどの思考パターンに引っ張られているのか?というのを客観的に見ることができるようになるのです。

わたしはこの「客観的に自分を見る」というのが苦手なので、こうしたものがあると知ることができるだけでも気が楽になるような気がします。


内向型は「静かな人」ではない

本書で一番印象に残ったのは、

内向型は「静かな人」ではなく、「静かな時間を求める人」

『世界一やさしい内向型の教科書』第2章より

というところ。

そうなんですよ。まさにその通りなんですよ。

わたし自身、長年接客業を勤めた経験もありますし…おしゃべり自体は嫌いではありません。
ただそれでも「ひとりでゆっくりできる時間がないと生きていけない」んですよね。

先日、お盆で妹が実家に帰省して来たのでわたしの部屋で寝泊まりしていたのですが…そのたった数日だけで急にニキビができるやら何やら、無意識のストレスが身体に出ているという。笑
さすがにこれは自分でもびっくりしましたが、でもそのくらい静かな時間がないとストレスを感じてしまうんですよね。

もちろん妹のことは嫌いじゃないですし、家族が揃うのも嬉しいことではあるのですが。
「ああ、やっぱりそういうことなんだなぁ…」としみじみと感じたお盆でした。


***


内向型の人が自分の性質を知るために読むのはもちろんなのですが。
例えば身近に内向型らしき人がいたとして、その人についてもっと知りたいと思っている外向型の人にもおすすめできる本です。

そうして内向型や外向型関係なく広く知られることで、色々な性質を持つ人々がより生きやすい社会へとつながりますよう。

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