好きなことは抑え込まずに突き進めばいいじゃない【Nymphomaniac 2】
いやーまじか、そういう終わり方するんだってちょっと衝撃とともに面白かった。
色情にまみれた人生から脱却しようと決意した女性と、人生から性欲が遠のいていた男性。
お互い真逆の性質だったかこそ成り立っていた関係が、まさかの展開。
そりゃあ男だもの、その前に人間だし動物だもの。
性欲が少ないからと言ってまったくないわけではない。
相手はたくさんの男とヤってきた女性。
今更一人増えたところでどうということはないだろう。
そこに持っていくラストは、ずるい。
パート 1では、あんなに色欲にまみれていた彼女が、急に性感が感じなくなったところで唐突に終わった。
若くて盛りのある年代から、パート 2では性感を取り戻そうと四苦八苦するところから、女として母としての人生の苦難と年齢の佳境を迎えるところが語られる。
抑えきれない性欲から解放されるために、無理に性欲を抑え込もうとするのって限界があるだろうし、無理なんじゃないかと思う。
依存症の自分が嫌で、セラピーに通ってなんとか克服しようとするけれど、それって本当に効果あるんだろうか。
性欲が好きなら好きで良い、ヤることが好きならとことんヤれば良い、それで自分が満足できるのならそれはいい人生だ、って勝手で安直だけどそう感じる。
色情だ! なんて大きい声では言えない。
自分はこんな性癖があるんだ! って話普通はしない。
セックスが好き、子供が好き、同性が好き。
一般的な趣向と違うことで抑圧されている人たちは孤独を抱えている。
自分の欲望に蓋をしたまま、もしくは自分の欲望に気づかぬまま生きている人たち、他とは違うとどこかで違和感を感じつつもそれに気づかない人もいる。
犯罪に走るわけでもなく、自分の欲望を満足させられない人たちは、どこかで孤独を感じている。
そんな人たちは一体どこで自分を満足させればいいのか。
という彼女の問いはなかなか鋭いかもしれない。
若い頃は若さや美貌で相手に困らないことが多い、と思う。
私は全く相手にされなかったので、若さを取り柄にしてもダメだったのだけど。
中年になるにつれ若さから遠のいていくと、一体何を武器にして戦っていけばいいのだろう。
年齢が上がるに連れ需要も少なくなっていくのは、ゲイだけの世界ではないと思う。
見た目が若くても、実年齢には敵わない、こともある。
経験豊富さを売りに新しい何かを開拓できればいいのだけど、経験もクソもない人は活かすものがない。
失った性感を取り戻すためにやったあれこれが、裏の世界で役立とうとはその時は知る由もない。
何のどんな経験が将来役に立つかわからない。
だから色んな経験をしておいたほうがいい。
特に自分のためにやったことが、使える武器になるかもしれないし。
なんてことをぼやっと考えていた。
年齢を活かすも殺すも自分次第。
でもできればずっと若いままの方が楽しいに違いない。
2時間強の長編。
パート 1のほうが刺激があって面白かったけど、これはこれで面白かった。