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【パリのマダム】いくつになっても美と恋愛をあきらめない

恋愛とはほぼ無縁な人生を送ってきたけど、
もし私がパリで暮らしていたら、パリで育ったとしたら、全然違う性格になっていたんだろう。でも、スレンダーなヨーロッパ人と短足で一目なアジアン人とでは勝負にならないかもしれない。それでも捨てる神あれば拾う神もありで、なんだかんだ恋愛できてたりするかもしれない。それとも、振り切って一度限りの夜を楽しむようになっている可能性だってある。どんなふうに人生が転がるかわからないけど、育った環境や暮らした環境、周りの価値観で人はどうにでも変わるというもの。

日本には日本の文化があって、パリにはパリの文化がある。
日本はお家文化だから、結婚して籍を入れることが夫婦の形として当たり前と考えられている。パリでは個人主義だから、結婚するかしないかは問題じゃない。事実婚でお互い納得できれば一緒に住むし、相性が悪くなれば無駄な書類上の手続きを踏まずにサッと別れられる。

どっちがいいかは人それぞれだけど、
自由に恋愛を楽しむなら、窮屈さを感じない関係性なら、もちろんパリの方がいい。ゲイの私にとっては、そもそも結婚という文字は辞書になかったこともあって、自由なパリの考えにはしっくりくる。気になった人とくっついたり離れたりすることは、人生でよくあること。それが友人だろうと恋人だろうと同じ。一生一人の人を愛し続けますというスタイルも純粋でいいけれど、いい男は手当たり次第味わってみたい。浮気とか不倫とか型にはまるのではなく、もっと自由に恋愛する人の方が、なんだかんだ魅力的でセンシュアルだと思う。

気をつけないといけないのは、
自分磨きをし続けないと魅力的な人間として見られないこと。いつまでも恋愛をしたいなら、いつでもときめかれるように身だしなみを整えておく必要がある。たしかにパリの男女は老いも若きもエレガントさをまとっている。

美しさは若さだけのものじゃない。
中年になって若さが引いてくる年代になっても、その歳で、その年代としての自分の美しさを追求している。肌のキメが荒くなったからって絶望なんかしない。ボディオイルを塗ってエステに通って血行を良くして、お手入れしていることで自信を持つ。

若さには若さで勝負しない。
若い人には持っていない、中年の特権とした熟した経験で勝負する。いつまでも揺るがない自信を持っているからこそ、マダムはマダムとして魅力が引き立っているのだろう。だからこそ若い男性がころっとハマってしまうのだろう。

日本人を含むアジア系は、
中年になっても肌がガサつくことはあんまりないと思う。ヨーロッパ人から見ると肌の劣化が遅いので、実年齢よりも若く見える、のかもしれない。ある意味で肌を維持できるからこそ、中年になっても若い見た目を維持しようとすることが、無理をしているように感じる部分もあるだろう。それは女性だけではなく男性も同じこと。

そして私も中年の劣化を恐れている一人である。
劣化を劣化と思わず、むしろそれをどう魅力的に魅せるか、年を取ることにネガティブでないパリジャンの価値観や思想を取り入れてみたい。美しさがあふれるパリの街並みに溶け込みながら、恋愛至上主義と美への追求を学んでみたい。これでまたパリに行きたい理由が一つ増えた。

2015 / 1 / 29


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