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夫だと思っていた相手が、実は自分の命を狙っていた


密かな企み / 2019

こういう男をサイコパスっているのかわからないけど、かなり自分よがりで勝手な男だった。
職場で一緒だったとはいえ、話しかけもせずずっと一方的に観察しては想いを寄せていた男。
彼女が恋愛結婚したことに腹を立て、一緒になるべき相手は自分なのに! と逆上して幸せ夫婦を襲う男。
こんな男に目をつけられたらかなり厄介だなと思うけど、自分ではまさかそんなふうに見られているとは思ってないから、対策のしようが無い。
一方的に想われ、突然逆上される。
女性の側から見ればいい迷惑としか言えない。

でもそういう男って世の中にいっぱいいるんじゃないだろうか。
大体そういう男は陰気で内向的で、内に怒りを秘めて一歩的な思いが強すぎる。
行動には移せないけどいつも虎視眈々と狙っている感じ。
かなりの偏見だけど、大体そういうイメージしかない。
そういう点でいうと、今回の男性はガタイも良くて顔も良くて、普通にしてたらモテそうなのにもったいない。
恋い焦がれた女性を、まさかの運命で自分のものにできるチャンスがやってきた。
当初は殺す気でいたのに、記憶を失っていると知ってから、さも自分が夫のように振る舞って懐柔しようとする手のひら返し。
まあでも元々好きだからああいうふうに優しくしてあげられたんだろうけど。
とはいえ、自分はこんなにも甲斐甲斐しく世話を焼いてきたんだから、それなりの報いがあっていいはずだよねと迫る時点で、彼女を道具として見ていないような、支配下においておきたい気持ちがだだ漏れである。
まさに典型的な DV男みたいな感じ。
結婚写真なんかも加工してかなり手間暇かかってたし、山荘はかなりこだわってて表向きはいいんだけど、ちょっと内面がやばめ過ぎる。

それにしても彼女が結婚した男性、凶悪犯とかなり顔が似てた。
というか似すぎというくらい似てた。
驚きの瓜二つさ。
あと、前半で彼女に花を持って見舞いにきた男性、あっけなく殺されてしまったけど、あの人は一体誰でどんな関係だったんだろう。
見逃しただけかもしれないけど、一体なんの関係がある人なのか最後までよくわからなかった。

記憶を無くして、目の前に現れた相手が自分の夫なり妻なり主張してきたら、そうだったのかしら、なんて疑うことは難しいだろう。
どこまでその人を信用できるかはその時の状況次第だけど、優しく身の回りの世話をしてくれれば、そして証拠写真なんかを見せられれば、そんなもんなんだろうと信じるだろう。
そこで今度は軟禁状態にされてしまったら、もうどうすることもできないし、人間不信になりそう。
どうやって助けを求めればいいか、助けは来てくれるのか、相手に知られすに抜け出すことはできるのか、いろいろと不安の種は大きくなる。
人生で誘拐されたり殺されそうになることは起こってほしいくないけど、もしそうなったときにどうやって生き残ればいいか、ちょっと考えてしまうよね。


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