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読書実況感想文『ノルウェイの森』第二章

こんばんは、『ノルウェイの森』第二章に突入しました。
前回は僕の直子との歪な関係を匂わす1文で終わりました。
果たしてここからはどのように物語が展開されていくのでしょうか。

十八歳の僕の語りから第二章は始まっていきます。

ここでは大学に入ったばかりの僕の寮生活。
そして直子に初めて会ったきっかけについて語られます。

大学寮は「アパートを改造した刑務所かあるいは刑務所を改造したアパート」と形容されていて、毎朝荘厳な国旗掲揚から始まるあたり、時代性を感じます。

こんなイメージ


一、二年生は二人部屋。
ということで、地理学を専攻する "突撃隊" とルームメイトになります。
(こんな寮だとCell mateが適切かもしれません)

カーテンをこまめに洗うだけで"突撃隊" (=異常性格) というなんとも物騒なあだ名をつけられてしまう彼を思うと不憫でしかないですが、確かにかなりの変わり者。

「地図」という言葉を口にするたびに吃ったり、眠っている僕に全く気を使うことなく朝の6時半から全力でラジオ体操をしたり、、、


そんな話を直子にすると、彼女はいつもくすくすと笑います。
直子に初めて会ったのは高校2年生の春。二人はある出来事を機にしばらく会わなくなるのですが、なんの因果か中央線の電車内で1年ぶりに再会。大学生になった今もこうして会って話をしているのでした。

ある出来事というのは二人の共通の知り合いであるキズキの自死です。
僕にとっては当時の唯一の友人。直子にとっては恋人です。

ここで僕と直子の歪な関係性が少しずつ明らかになってきます。
現在の僕と直子は一見親密に感じられますが、キズキ抜きではお互いに何も喋らず、キズキの死の直後に二人で会った時も会話が続かなかったのでした。


イチ読者としては、キズキが死を選んだ理由を知りたくなってしまうのですが、遺書もなく、直前までキズキと過ごしていた僕にも思い当たる動機はありません。

ただ、前日に僕とビリヤードを撞いていたキズキが珍しく真剣だったようです。きっとこの時には既にキズキの中で決心がついていたのでしょう。

第二章の最後には、本書のテーマとも言えるであろう一文が太字で書かれています。

しかしどれだけ忘れてしまおうとしても、僕の中には何かぼんやりとした空気のかたまりのようなものが残った。そして時が経つにつれてそのかたまりははっきりとした単純なかたちをとりはじめた。僕はそのかたちを言葉に置きかえることができる。それはこういうことだった。死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。

ノルウェイの森 p.53~54

対になる概念はどうしてもシンプルな二項対立の構図で語られがちです。
生と死、存在と無、始まりと終わり。
特に死に関して言えば肉体が無くなるのですから、文字通りを連想してしまいますが、遺される者にとっては自らの生の中でその死は存在しています。

野暮な引用になりますが、ワンピースでもチョッパーの恩師であるヒルルクもこういってましたね。

人はいつ死ぬと思う・・?

「心臓を銃で撃ち抜かれた時・・・違う」

「不治の病に侵された時・・・違う」

「猛毒のキノコのスープを飲んだ時・・・違う!!」

「・・・人に忘れられた時さ」

『ワンピース』16巻より



のっけから物凄く暗い雰囲気で始まっている『ノルウェイの森』ですが、僕と直子に明るい未来が来ることを願って、第三章以降も読んでいきます。


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