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読書実況感想文『ノルウェイの森』第三章

こんにちは、こんばんは。
『ノルウェイの森』第三章に突入しました。

まだ第三章ですが、物語が大きく動きはじめました。
そもそも1章ずつ感想文を書いても書ききれないこと自体が、村上春樹の凄さを表している気がします。

前回の記事はこちら↓

第二章の最後で、僕と直子、二人がキズキの死を今も忘れられないことがわかりました。

第三章でも冒頭にて、直子が僕と同様に知っている人が誰もいないところで新しい生活を始めたかった (過去と距離を置きたかった)ことがわかります。

二人の接点がキズキしかないにも関わらず、二人の会話においてキズキという名前はほとんど登場しません。

お互いに慣れていき二人の関係も親密になっていきますが、悲しい哉、口に出さずともキズキの存在がちらつきます。

彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕なのだ。彼女の求めているのは僕の温もりではなく誰かの温もりなのだ。僕が僕自身であることで、僕はなんだかうしろめたいような気持になった

『ノルウェイの森 p.61』

何度も何かを告げたそうな素振りをする直子。
自分の心がわからなくなり始める僕。

まさにヤマアラシのジレンマ状態。
これ以上近い関係性になったら二人の中の何かが壊れてしまうのではないか?適切な距離を掴みかねている二人は、内省を続けます。

そんな中、僕は同じ寮で生活している永沢さんと親しくなります。
きっかけは『グレート・ギャッツビー』を二人とも評価していること。

村上春樹の作品では、共通の音楽や小説を機に新たな人間関係が生まれることが多いですね。僕も現実でそんな出会いをしたいものです。



直子の二十歳の誕生日を祝いに僕は彼女の家に向かうのですが、
ひょんな会話から二人の均衡が崩れ、直子は涙を流し、二人は初めて体を交わします。これ以上詳細に書くのは野暮なので控えますが、決してロマンティックなものではないとだけ言っておきましょう。


この日を境に直子からの連絡は一時的に途絶えます。
数ヶ月後、手紙が来るのですが、大学を休学すること、そして京都の療養所にしばらく入院することが告げられます。

第三章は、突撃隊からもらった蛍を眺める場面で幕を閉じます。
以下はその蛍が屋上で飛びたった時の描写です。

目を閉じたぶ厚い闇の中を、そのささやかな淡い光は、まるで行き場を失った塊のように、いつまでもいつまでもさまよいつづけていた。
僕はそんな闇の中に何度も手をのばしてみた。指は何にも触れなかった。その小さな光はいつも僕の指のほんの少しの先にあった。

『ノルウェイの森』 p.98~99

ものすごく切ないですね、、、
僕は蛍が放つささやかな淡い光を通して、近づけそうで近づけない直子のことを想うのでした。



第四章に続く

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