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同じ時代、違う世界で、同じ夢を追いかけて

知人から「観た方がいいですよ」と勧められて観始めた日中韓合同サバイバルオーディション番組「Girs Planet 999」(ガルプラ)にハマっている。
日本、中国、そして韓国からそれぞれ33人ずつ、計99人の少女がKPOPのスターダムを目指す様子を3ヶ月に渡って追いかける視聴者参加型リアリティーショーで、見始めたらハマるのは分かりきっていたのだがこれがまぁ面白い。


「3つの異なる世界の、異なる言語を話す少女達が、同じ夢を追いかけてつながる。共通言語はKPOP。」

というのがコンセプトで、番組タイトル、シンボルマーク、ティザービジュアルなどに「3つの〇」があしらわれている他、審査・投票システムなど細部においてまで「3」という数字が意識されていて、さながら「3フェチ」とでもいうべき徹底ぶりである。


最終審査を目前に控えた昨日、ファイナリスト18名の個人インタビュー動画が公開され、各々が「もし自分がデビューしたらプラネットガーディアン(ファン、視聴者)とどんなことをしたいか」という質問に答えた。印象的だったのは、多くの候補生が「ファンの方に会いたい、会って話をしたい。今までは私たちが見てもらう側だったので、私たちがファンの方の様子を見に行きたい。」という趣旨の回答をしたことだ。


もちろんアイドルとして模範的な回答ではあると思うが、それ以上にこれらの言葉はこの「Girls Planet 999」という番組のコンセプトを体現しているとともに、時代をよく映した言葉であるように思えた。(実際こうした声が多かった背景には、通常行われる番組観覧の一般募集が感染症対策のために行われなかったり、ファンミーティングが流行りのドライブイン方式で開催されたため直接の会話が難しかったり、という事情もある。)


シグナルソング「O.O.O」のタイトルも「3つの〇、3つの世界」のコンセプトに通じている。


人と気軽に会うことを制限される生活が常態化した一方で、技術の進歩は遠く離れた本来出会うはずのない人ともつながることを可能にした。異国の文化にハマるのに語学力は必須ではないし、端末ひとつあればオンラインで気軽にパフォーマンスを発信したり、逆に応援したりできる。圧縮された時間と空間の中で、「会うこと」は必ずしも重要とはされていないのかもしれない。

そんな時代の流れの中にあっても、99人の少女達が歌うテーマソングのサビは「만나고 싶어(会いたいよ)」という言葉で始まるのである。
それは始め、「同じ夢を見るあなたとつながりたい」という候補生同士の想いを歌った詞であった。そして3ヶ月の厳しい審査期間を終えようとしている今、今度はその詞が「ファンの皆さんと会って話をしたい」という彼女らの願いと呼応する。

만나고 싶어
会いたいよ

어디 있니
どこにいるの?

너의 세계가 궁금해
君の世界が気になるの

같은 순간
同じ瞬間に

다른 공간
違う空間で

같은 꿈을 꾸는 너와 나
同じ夢を見る君と私


番組は視聴者="プラネットガーディアン"に向けて何度も「あなたは誰の夢を守りますか?」と問う。「守る」というと大仰に聞こえるが、きっとその本意はここ、つまり「同じ夢を見ること」にあるのだろう。

同じこの時代を生きている人と人、海の向こうあるいは画面の向こうという別の空間と空間を、「夢」という異空間がつなぐ。

「夢を守る」つもりで3ヶ月を通して候補生たちを見ているうちに、いつしか彼女らに共鳴し、「推しとともに推しのデビューを勝ち取る」という同じ夢を追いかけている。そんな人をこの3ヶ月沢山見てきたし、筆者も末席ながらその1人である。


会わなくてもよくなった時代、会えなくなった時代に、それでも「会いたい」と歌った99人の少女たちの物語が今日終わり、そして今ここから9人の少女たちの夢が始まる。


「Girls Planet 999」最終回はAbemaTV「Abema Special2」チャンネルにて本日10/22の20時から生放送されます。



ここまで読んでくれた方は筆者の推しも何卒よろしくお願いします。

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