“ALICE is Coming to Town”【MIGMA SHELTER】
2022年8月14日、MIGMA SHELTER SIX ALICE REMIXED TOURが2年半の時を経てついに福岡にやってきた。
メンバー変遷を経ながら6年という長いキャリアを持つミシェルにとっても、意外にも今回が初の福岡ワンマン。本来2020年4月26日に開催を予定しながらもコロナの影響を受け延期になった後、実現に約2年強もの時間を要したとあればその感慨も一入である。
お盆なのに気分はさながら『サンタが町にやってくる(Santa Claus is Coming to Town)』だと浮かれていたら、昼の部のリリースイベントでクリスマスソング『HMX instrumental』をやってくれたので笑ってしまった、お盆なのに。
推しグルが九州でワンマンをしてくれるということ
現場の消費速度が速いアイドル界隈にいると忘れそうになる感覚だけれど、そもそも地方に住む人にとって好きなアーティストが地元の町にやってきてライブをしてくれるというのは本当に特別な機会だ。さらにそれがワンマン公演ともなれば尚更。
九州福岡という土地を考えても、東名阪福と4都市に名前を挙げられることこそあるものの、阪→福の壁はなかなかに厚く、それだけに地元公演への感情が大きくなる。
私と2020年とALICE
ALICEというアルバムはクラファン施策をはじめ大きな勝負に出た象徴的なアルバムで、そのリリースツアーとして自身最大規模で全国を回る同ツアーはグループにとって大事な機会になるはずだった。
まだコロナ禍がこんなにも生活に長い影響を及ぼすとは予測もできなかったあの頃、ツアーの動向に関わる田中さんやメンバーのツイートを見ては悔しい思いをしていたのを思い出す。
配信ライブの隆盛に合わせて、自宅にプロジェクター環境を整備した。
2020年は特にたくさんのライブを大画面で見たが、中でもMIGMA SHELTERの配信レイヴは頻度・クオリティ・満足度ともに非常に高く、現場に足を運べない間も、ALICE曲のパフォーマンスを見る機会に恵まれ、たくさんの感動を与えてくれた。本当にありがたいことだと思う。
だから自分にとってALICEの楽曲は自室のプロジェクタースクリーンの光景と強くリンクしたものになっていた。
また、ALICEの音源がリリースされると何度も繰り返し聴いて、しまいには長文のレヴューnoteを書いたりもした。間違いなく2020年最も聴いたアルバムの1枚だと思う。
念願のALICEツアー福岡
自分自身としてはこの期間の間に遠征してなんとかレイヴを見る機会にありつけたこともあったものの、結局ミシェルが福岡に帰ってくるのには2年半の歳月を要した。
ALICEの後『Paralyzing』、『Coro Da Noite』に『Redo』の楽曲たちも加わり、満を持してのALICE、九州上陸。
ずっと画面越しだった衣装が、メンバーが、楽曲たちが、今自分の目の前で新しい物語として紡がれていく様子に心躍り、感動し、涙した。
リードトラック『Rabiddo』の激情的なパフォーマンス、『Y』の行進、『Egg Head』の美しい旋律に笑顔溢れる“無限Egg”の繋ぎ、『Road』で見せる推し・ミミミユさんの取り憑かれたようなパフォーマンス、『Queen』の疾走感、そしてアルバムの物語を真に完成させる『My Wonderland』から『In Wonderland』のループエンド。
あの苦しかった年に憧れていた、ミシェルALICEの全てが眼前にあった。
MIGMA SHELTERというグループが好きで良かったと思えた時間だった。
ミシェルALICEの物語は最後に日常の街へと帰り、「無意識な」聴き手を物語の世界に巻き込んで終わる。
「Not Over Yet」と歌われたその瞬間、やっと福岡というこの町も、自分自身も、この物語に巻き込まれることができたと、そう思った。
終演後、メンバーに見送られてDRUM SONのフロアを出ると、いつも福岡にたくさんのアイドルを呼んでくれている某イベンターさん達にお会いした。
先日の件も含めてお礼を伝えることができて、個人的にとてもいい機会となった。
たくさんの人たちの尽力のおかげで、ミシェルALICEがわが町にもやってきた。
素晴らしいプレゼントを持って。