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035『外向的感情型EF;タイプ論』-ユングを詠む

1.   イントロ

 ユング『タイプ論』の紹介に一区切りをつける。優越機能又は主機能と呼ばれる下記の8種類からなるユングオリジナルの心理学的タイプがどのようなものか、これまで読んできた文献からまとめておくシリーズをやっている。

⭕️ユングの心理学的タイプ8つの優越機能(又は主要機能とか主機能とも呼ばれる)とは、これらのこと。

1.外向的思考型[ET]→032『外向的思考型ET;タイプ論』
2.外向的感情型[EF]→035『外向的感情型EF;タイプ論』
3.外向的感覚型[ES]→036『外向的感覚型ES;タイプ論』
4.外向的直観型[EN]→038『外向的直観型EN;タイプ論』
5.内向的思考型[IT]→034『内向的思考型IT;タイプ論』
6.内向的感情型[IF]→033『内向的感情型IF;タイプ論』
7.内向的感覚型[IS]→037『内向的感覚型IS;タイプ論』
8.内向的直観型[IN]→039『内向的直観型IN;タイプ論』

 外向的、内向的という2つの一般的態度と、思考型、感情型、感覚型、直観型という4つの心的機能の説明を、あらためて説明し直しながらまとめていく。

注意;下記2〜5項の詳細説明は032『外向的思考型ET;タイプ論』を参照方。

2.内向(I; Introversion)の定義

 「リビドーが内に向かうことである。これは主体が客体に対して消極的ない関係を持っていることを表している。関心が客体に向かわずに、客体から主体へ引き戻されるのである」

内向的な構えをとる人は誰でも考え・感じ・行動する・さいに、はっきりと見分けがつくほどに、何よりもしぃたいが動機づける側ではあり客体はせいぜい副次的な価値しか持たないという態度をとる。

内向はより知的な性格をも、より感情的な性格をも持ちうる。同様にそれは直観や感覚によっても特徴付けられることができる。

内向が能動的であるのは主体が客体を何らかの形で排除しようと意図するときであり、受動的であるのは客体から逆流してくるリビドーを再びか客体に戻せない時である。

内向が習慣的になっているときに内向的タイプと呼ぶ

[3]p475

 リビドーとは心的エネルギーのこと。神経細胞などの活動に必要なエネルギーと還元的に解釈を私はしている。

3.外向(E; Extraversion)の定義

「リビドーが外へ向かうことを意味する。主体が公然と客体に関係していること、すなわち主体の関心が積極的に客体に向けられていることを表す。(中略)したがって外向とはいわば関心が主体から客体に移ることである」

[3]p461

4.心的機能

 感覚型、直観型、思考型、感情型、という4つの心的機能の説明。

4.1心的機能;「感覚(S; Sensation)」

「五感による感覚、すなわち感覚器官や身体感覚(運動感覚や脈拍感覚など)による知覚」

[3]p458

4.2心的機能;「直観(N; iNtution)」

「知覚を無意識的な方法によって伝える心的機能 」[3]p475
「その内容がどのようにして生じたのか示すことも発見することもできない。直観はその内容がなんであれ、一種の本能的把握である」[3]p476

[3]

4.3心的機能;「思考(T; Thinking)」

「それ固有の法則に即して、与えられた表象内容を(概念的に)関連付ける心的機能」

[3]p452

4.4心的機能;「感情(F; Feeling)」

「自我と与えられた内容との間に生じる活動であり、しかもその内容に対して受け容れるか拒むか(「快」か「不快」か)という意味で、一定の価値を付与する活動」

[3]p462

5. 優越機能と補助機能
5.1優越機能

 まず、優越機能とはこのようなものだ。先に説明した一般的態度と心的機能のコンビネーションで形成される。単に足し算しただけではない特徴を示す。タイプダイナミクスと呼ばれる。

 ちなみに第1補助機能、第2補助機能、劣後機能も一般的態度と心的機能の単なる足し算にはならない。

 イントロで8つの一般的態度と心的機能のコンビネーションからなる優越機能を列記した。最も習慣的に使っている、あるいはもっぱら意識されている状態にあるコンビネーションが優越機能と呼ばれる。内向的な優越機能は他人からは観察されにくい。

 優越機能はそのほかの機能のコンビネーション(一般的態度と心的機能のコンビネーション)に対して優位にある、つまりよく使われる。よく使われるから分化して発達している。

 起きて活動しているときに時間的に最もよく使っている心的機能ということになる。この後説明する第1補助機能、第2補助機能もその順番で顕在意識の下に出てくる。劣後機能はほとんど出てくることはない。

 第1補助機能、第2補助機能、劣後機能ともに無意識下で機能している。ただ顕在意識として自我がその活動を認識できないことが多い。

5.2 補助機能

補助機能の前に、不合理的機能と合理的機能について説明が必要であった。

非合理的機能とは、感覚(S; Sensation)直観(N; iNtution)の2つ。知覚機能とも呼ばれる。

合理的機能とは、思考(T; Thinking)感情(F; Feeling)の2つである。判断機能とも呼ばれる。

 優越機能が、非合理的機能ならば補助機能は合理的機能が担う。また逆も然り。文末に掲載した“こころの羅針盤”のイメージのように非合理的機能と合理的機能の軸が直交する。

6.外向的感情型[EF]

特徴:思いやりのある好意的な態度で、表現豊かに人と接し、相手の気持ちに気付きやすいため、場をまとめるような役割を取りやすい。何を大切にしているかが明確で、日常の人との関わりを通じてそれを周囲に伝える。[2]p17
動機づけ:外界に調和と連携を創り出すこと。相手のしたいこと、求めている事を得やすいように援助すること。 [2]p17

優越機能として外向[E]と感情[F]のコンビネーションが現れるものだ。

第1補助機能に感覚[S]がくるものと直観[N]が来るものの2種類がある。MBTI®︎では優越機能が外向[E]の場合であるので、この第1補助機能が、必ず内向[I]となる。しかし、ユングのオリジナルタイプやマイヤー親子以外の研究では外向[E]になることもあるとされている。MBTI®︎との差別化の意味でも第1補助機能を内向[I]に限定しない立場とする。

◎外向的感情型[EF]の特徴[2]p17

・その場にいる一人ひとりの人と、円滑な人間関係を築こうとする
・相手の要望に敏感で、それにかなうように行動する
・人々の要求に応えるために、周囲の環境を調整し、行動計画を立てる
・相手の個人的な、あるいは組織戦隊の目標が達成するために援助にエネルギーを注ぐ
・自分の意見や価値観を、相手の納得が得られるように雄弁に訴える
・すべての人が仲間に入れるように、輪に入りにくい人を気にかけ参加しやすいようにする
・温かさや配慮、思いやりや相手への興味関心を、言語・非言語に関わらず表現する
・自分にとって大切な人や団体、組織などの問題点を認めることが難しい場合がある
・毎日を人間関係から捉える姿勢を基本に持ち、一人ひとりの人との調和や協力関係を創り出していこうとする

 外向的感情型(直観優位)[EF:N]外向的感情型(感覚優位)[EF:S]の“こころの羅針盤“イメージを文末に載せておく。

6.1外向的感情型(直観優位)[EF:N]の特徴[2]p13

・人々の潜在的な力を最大限に引き出す方法を考え、実行したり、他者の発達や成長おw導き奨励する
・補助機能としての直観機能(内向の場合)で人々に関する事を“読み取り”、他者の求めやその人の可能性を素早く察知する
・協調することや胃炎が一致すること、励ますことなでおに焦点を置きすぎるあまり、対立の兆候や、近い人の自分に対して好ましくない言動に気がつかないことがある

6.2外向的感情型(感覚優位)[EF:S] の特徴[2]p13

・周囲に協力関係や好意的な雰囲気を作る
・補助機能としての感覚機能(内向の場合)で、人々についての詳細情報を捉え、蓄え、実際にその人たちに役立つ方法で他者を援助する
・具体的な情報を豊富に持っていても、他者がどのように感じているかや、人間関係の調和が取れているかという情報が優先される
・結果的に、特に自分に近い人について不愉快な事実が見えてこないことがある

7.こころの羅針盤
 7.1外向的感情型(直観優位)[EF:N]

優越機能が外向的感情型、第一補助機能が直観型、第2補助機能が感覚型、劣等機能が思考型。

優越機能(主機能)が外向的感情型、第一補助機能が直観型、第2補助機能が感覚型、劣等機能が思考型。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。
MBTI®︎ではこのパターンはありません。

赤い大文字アルファベットが外向的、
青い大文字アルファベットが内向的を表す。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。

図の上にいくほど意識されやすい機能、すなわち優越した機能。下にいくほど意識される時間が少なくなり、劣等機能はほとんど意識されないばかりか無意識下でも活動していないことも考えられる。

7.2外向的感情型(感覚優位)[EF:S]

優越機能が外向的感情型、第一補助機能が感覚型、第2補助機能が直観型、劣等機能が思考型。

優越機能(主機能)が外向的感情型、第一補助機能が感覚型、第2補助機能が直観型、劣等機能が思考型。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。
MBTI®︎ではこのパターンはありません。

赤い大文字アルファベットが外向的、
青い大文字アルファベットが内向的を表す。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。

図の上にいくほど意識されやすい機能、すなわち優越した機能。下にいくほど意識される時間が少なくなり、劣等機能はほとんど意識されないばかりか無意識下でも活動していないことも考えられる。

8.あとがき

 今回あたらに書き加えて役に立ちそうなのが6項,7項と思う。

今回はここまで

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参考文献[1] MBTIタイプ入門(第6版)https://amzn.asia/d/gYIF9uL

参考文献[2] MBTIタイプ入門 タイプダイナミクスとタイプ発達編https://amzn.asia/d/70n8tG2

参考文献[3] 『タイプ論』https://amzn.asia/d/2t5symt

参考文献[4] ユングのタイプ論に関する研究: 「こころの羅針盤」としての現代的意義 (箱庭療法学モノグラフ第21巻) https://amzn.asia/d/aAROzTI

参考文献[5] 『元型論』https://amzn.asia/d/eyGjgdX

参考文献[6]『ユング――魂の現実性(リアリティー) (岩波現代文庫)』https://amzn.asia/d/cUEvxPS

参考文献[7] <ミヒャエル・エンデ『モモ』 2020年8月 (NHK100分de名著) ムック – 2020/7/22>

参考文献[8] 『ユング心理学入門』https://amzn.asia/d/0gCq7JP9

背景画像:原案:経営を語るユング研究者 小河節生。
     作画:ChatGTP4o。
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