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037『内向的感覚型IS;タイプ論』-ユングを詠む

1.   イントロ

ユング『タイプ論』の紹介に一区切りをつける。優越機能又は主機能と呼ばれる下記の8種類からなるユングオリジナルの心理学的タイプがどのようなものか、これまで読んできた文献からまとめておくシリーズをやっている。

⭕️ユングの心理学的タイプ8つの優越機能(又は主要機能とか主機能とも呼ばれる)とは
これらのこと。

1.外向的思考型[ET]→032『外向的思考型ET;タイプ論』
2.外向的感情型[EF]→035『外向的感情型EF;タイプ論』
3.外向的感覚型[ES]→036『外向的感覚型ES;タイプ論』
4.外向的直観型[EN]→038『外向的直観型EN;タイプ論』
5.内向的思考型[IT]→034『内向的思考型IT;タイプ論』
6.内向的感情型[IF]→033『内向的感情型IF;タイプ論』
7.内向的感覚型[IS]→037『内向的感覚型IS;タイプ論』
8.内向的直観型[IN]→039『内向的直観型IN;タイプ論』

 外向的、内向的という2つの一般的態度と、思考型、感情型、感覚型、直観型という4つの心的機能の説明を、あらためて説明し直しながらまとめていく。

注意;下記2〜5項の詳細説明は033『内向的感情型IF;タイプ論』を参照方。

2.外向(E; Extraversion)の定義

「リビドーが外へ向かうことを意味する。主体が公然と客体に関係していること、すなわち主体の関心が積極的に客体に向けられていることを表す。(中略)したがって外向とはいわば関心が主体から客体に移ることである」

[3]p461

3.内向(I; Introversion)の定義

 「リビドーが内に向かうことである。これは主体が客体に対して消極的ない関係を持っていることを表している。関心が客体に向かわずに、客体から主体へ引き戻されるのである」

内向的な構えをとる人は誰でも考え・感じ・行動する・さいに、はっきりと見分けがつくほどに、何よりもしぃたいが動機づける側ではあり客体はせいぜい副次的な価値しか持たないという態度をとる。

内向はより知的な性格をも、より感情的な性格をも持ちうる。同様にそれは直観や感覚によっても特徴付けられることができる。

内向が能動的であるのは主体が客体を何らかの形で排除しようと意図するときであり、受動的であるのは客体から逆流してくるリビドーを再びか客体に戻せない時である。

内向が習慣的になっているときに内向的タイプと呼ぶ

[3]p475

 リビドーとは心的エネルギーのこと。神経細胞などの活動に必要なエネルギーと還元的に解釈を私はしている。
 
 

4.心的機能

感覚型、直観型、思考型、感情型、という4つの心的機能の説明。

4.1心的機能;「感覚(S; Sensation)」

「五感による感覚、すなわち感覚器官や身体感覚(運動感覚や脈拍感覚など)による知覚」

[3]p458

4.2心的機能;「直観(N; iNtution)」

「知覚を無意識的な方法によって伝える心的機能 」[3]p475

「その内容がどのようにして生じたのか示すことも発見することもできない。直観はその内容がなんであれ、一種の本能的把握である」[3]p476

[3]

4.3心的機能;「思考(T; Thinking)」

「それ固有の法則に即して、与えられた表象内容を(概念的に)関連付ける心的機能」

[3]p452

4.4心的機能;「感情(F; Feeling)」

「自我と与えられた内容との間に生じる活動であり、しかもその内容に対して受け容れるか拒むか(「快」か「不快」か)という意味で、一定の価値を付与する活動」

[3]p462

ユングは、感情も一種の判断と見做している。

5. 優越機能と補助機能

5.1優越機能

 まず、優越機能とはこのようなものだ。先に説明した一般的態度と心的機能のコンビネーションで形成される。単に足し算しただけではない特徴を示す。この効果はタイプダイナミクスと呼ばれる。

ちなみに第1補助機能、第2補助機能、劣後機能も一般的態度と心的機能の単なる足し算にはならない。

イントロで8つの一般的態度と心的機能のコンビネーションからなる優越機能を列記した。最も習慣的に使っている、あるいはもっぱら意識されている状態にあるコンビネーションが優越機能と呼ばれる。内向的な優越機能は他人からは観察されにくい。

優越機能はそのほかの機能のコンビネーション(一般的態度と心的機能のコンビネーション)に対して優位にある、つまりよく使われる。よく使われるから分化して発達している。

起きて活動しているときに時間的に最もよく使っている心的機能ということになる。この後説明する第1補助機能、第2補助機能もその順番で顕在意識の下に出てくる。劣後機能はほとんど出てくることはない。

第1補助機能、第2補助機能、劣後機能ともに無意識下で機能している。ただ顕在意識として自我がその活動を認識できないことが多い。

優越機能に話を戻して、『タイプ論』からその説明文を拾ってみよう。

5.2 補助機能


補助機能の前に、不合理的機能と合理的機能について説明が必要であった。

非合理的機能とは、感覚(S; Sensation)直観(N; iNtution)の2つ。知覚機能とも呼ばれる。

合理的機能とは、思考(T; Thinking)感情(F; Feeling)の2つである。判断機能とも呼ばれる。

 優越機能が、非合理的機能ならば補助機能は合理的機能が担う。また逆も然り。文末に掲載した“こころの羅針盤”のイメージのように非合理的機能と合理的機能の軸が直交する。
 
 

6.内向的感覚型[IS]

特徴:詳細にわたる適切な事実を豊富に集め、自分の経験や知識に基づいて取捨選択をしながら問題解決を図っていく。一つひとつの決断や行動を入念に検討し隙のないしっかりしたものにすることに焦点を置く。 [2]p14
動機づけ:自分が置かれている状況と自分の位置付けをしっかりした根拠に基づき、具体的にかつ正確に認識していくこと。 [2]p14

優越機能として内向[I]と感覚[S]のコンビネーションが現れるものだ。

第1補助機能に思考[T]がくるものと感情[F]が来るものの2種類がある。MBTI®︎では優越機能が内向[I]の場合であるので、この第1補助機能が、必ず外向[E]となる。しかし、ユングのオリジナルのタイプやマイヤー親子以外の研究では外向[E]になることもあるとされている。MBTI®︎との差別化の意味でも第1補助機能を外向[E]に限定しない立場とする。
 

◎内向的感覚型[IS]の特徴[2]p14

・エネルギーや注意を内界に向け、外界で実際に起きたことや出来事と、その時の内面で思ったことや感じたこと、また体験したことや思い出したことなどを記憶に留めていく
・実際体験してきたことにエネルギーを注ぎ、「いま・ここ」もしくは、いままで積み重ねてきたことに重点を置く
・今何が実在しているのかを捉え、その情報を必要な時にいつでも取り出せるように、内側
にある貯蔵庫に組み入れる
・自分の興味または今までの経験と一致する詳細な情報を選択して記憶にとどめ、それ以外のことは取り入れずに流す
・いま置かれている状況に応用できることがないか、いままで経験してきたことを回顧し調査する
・細部にわたり点検し、堅実な判断に基づいて処理していく
・着実で頼りにできる
・実質的な構造を提供する
・義務を履行し、帰属意識を重視する
・好奇心をもちながら真剣に取り組む姿勢を基本にもち、個人的に生き生きと感じられる経験や知識を大切に心にとどめようとする
 
内向的感覚型(思考優位)[IS:T]と内向的感覚型(感情優位)[IS:F]の“こころの羅針盤“イメージを7項に載せておく。
 

6.1内向的感覚型(思考優位)[IS:T]の特徴[2]p14

・自分の外界を統制したり、整理したり、論理的原則に基づいて理由づけをしたり、結論や明確さを求める
・変更を求められたときに内向感覚機能が十分な情報を集めきっていない場合には、突然理性を失い、論理的な考えを拒否したかに周囲に見えることがある
・自分の責務を全うし仕組みを整えたいという強い欲求があって優越機能の感覚機能が十分割元自治的で具体的な情報が得られるまでは、求められた変更を抑制する
・一旦確信が持てれば変更を実行に移して責任を持って動いていく

6.2内向的感覚型(感情優位)[IS:F]の特徴[2]p14

・補助機能の感情機能(外向の場合)で、他者に対して気を配ったり、穏やかに接する。
・人間関係において調和がもたらされるよう周囲に働きかけることに力をつくす
・優越機能の内向感覚機能で人々についての完全に近いまでの詳細な情報を蓄え、実際にその相手に役立等と務める
・内面にある感覚機能によって集められたデータベースに「この状況にはこの対応」や「この手の人々の求めにはこの対応」などの情報に頑なにないのですぎることがある
・上記の場合、どうすべきかわかっていると強く主張し突然頑固になり、他の選択肢を拒否するようになる

7.こころの羅針盤
7.1内向的感覚型(思考優位)[IS:T]

優越機能が内向感覚型、第一補助機能が思考型、第2補助機能が感情型、劣等機能が直観型。

優越機能(主機能)が内向感覚型、第一補助機能が思考型、第2補助機能が感情型、劣等機能が直観型。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。
MBTI®︎ではこのパターンはありません。

赤い大文字アルファベットが外向的、
青い大文字アルファベットが内向的を表す。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。

図の上にいくほど意識されやすい機能、すなわち優越した機能。下にいくほど意識される時間が少なくなり、劣等機能はほとんど意識されないばかりか無意識下でも活動していないことも考えられる。

7.2内向的感覚型(感情優位)[IS:F]

優越機能が内向感覚型、第一補助機能が感情型、第2補助機能が思考型、劣等機能が直観型。

優越機能(主機能)が内向感覚型、第一補助機能が感情型、第2補助機能が思考型、劣等機能が直観型。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。
MBTI®︎ではこのパターンはありません。

赤い大文字アルファベットが外向的、
青い大文字アルファベットが内向的を表す。
緑の文字の機能は片方が外向ならもう一方は内向になる関係。

図の上にいくほど意識されやすい機能、すなわち優越した機能。下にいくほど意識される時間が少なくなり、劣等機能はほとんど意識されないばかりか無意識下でも活動していないことも考えられる。

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