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C.G.ユングを詠む(006)-無意識との対決

C.G.ユングについて、河合隼雄先生が表された「ユングの生涯」の読後メモの6回目。

1~17項は、以前の投稿。文末にリンク先を掲載。

18.-「お前の神話は何か」―無意識との対決

1912~1913年ごろ、フロイトと訣別したユングは、「方向喪失感」に襲われる。

ユングは自分の患者にどのように接して行くべきかがわからなかった。42%

ユングは何らかの理論的な前提を持たずに虚心に接して、患者たちのいうことに耳を傾けようとした。42%

ユングはこのように精神病の患者の空想や夢など聞いているうちに、その内容が神話や昔話などと極めて類似していることに気づき始めた。43%

人間というものは生きていくために、神話を必要とする。43%

人間は生きてゆくために外界に対する知識を必要とするが、それと同時に、一体、自分がどこから来てどこにいくのか、という根源的な問いに対して答える知識も持たねばならない。

後者のような知恵を供給し、人間存在を、世界の中にしっかりと定位することのために、神話は存在すると彼(ユング)は答えた。43%

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河合隼雄著[ユングの生涯」

ユングは内省の中で、「ではお前の神話は何なのか」という問いにあう。

『自伝』の中に、彼は「ここまでくると、自分自身との対話も苦痛になってきた。そこで私は考えることをやめた。行きづまりに来てしまったのだ」と記している。43%

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19.ユングの心象風景
1912年ごろに見る夢はこんなものだった。

メロヴィンガ王朝にまで遡る大石棺が一列に並んでいるところを訪れる。そこに安置されているミイラのようになった古い死体を、ユングが見つめていると、それは急に動き出し、組んでいた指を解いたりし始めるのであった。43%

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まるで、ゾンビ映画を見ているような夢である。当時、そんな映画やドラマはなかったであろうが。

自分(ユング)が心理的障害を持つような原因が過去にあるのではないかと、全生涯の細部にわたって、二度も調べてみたくらいであった。
1913年になって、彼の無意識の活動はますます強くなった。彼は一人で旅行している時には、恐るべき洪水が北海とアルプスに間の北の低地地方を全て覆ってしまう幻覚に襲われた。

また、彼は1914年の春と初夏の頃、同じ夢を三度も繰り返しみた。それは、ロレーヌ地方とその運河が全て凍結してしまって、どこにも人がいなくなるほどの凄まじいものであった。43%

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この夢の話は、映画「危険なメソッド」 でも語られている。ノアの箱舟が必要になった大洪水の記憶の一片なのかもしれない。よくわからないが。

映画「危険なメソッド」

私(ユング)自身の経験がどの程度人類一般のそれと一致していたかを理解しようと努めねばならないということである。44%

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と述べている。こうした内面に訪れるイメージの強烈さに対抗していくために、ヨガの行を用いたという。

私の目的は自分の中に何事が生じつつあるかを知ることにあったので、ヨガの行は、私が無意識についての仕事を続けるのに十分なだけ自分を静めることができる程度に止めておいた。

自分が再びもとにかえったと感じるや否や、私は自分の情動に対する制止を解き、イメージや内的な声が新たに語りかけるのを許した。44%

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私はこのレベルまで自分の潜在意識にアクセスできないている。辛いかもしれないが行ってみたいレベル。

これに反してインド人たちはヨガの行を多くの心の内容やイメージを完全に抹消するために行うのである。44%

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心の内容やイメージを完全に抹消できるものなのであろうか?シャドーを完全に消去できるといことか?これはよくわからない。インド人にびっくりだ。しかし、次の段落と読んでいくとユングの治療法の中に取り入れられている節もある。

「私が情動をイメージにと変換する----つまり、情動の中に隠されたイメージを見出す----ことができた限りににおいて、私は内的に静められ、安心させられた。」44%

その後、ユングが発展せしめていった治療法の中核をなすことである。45%

「私は自分自身があえて行い得ないことを、自分の患者にするように期待できない。」45%

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1913年12月18日に見た夢について。日にちまで記されているのでかなりコペルニクス的な気づきだ。ユングは英雄ジークフリードを射殺する夢を見る。ジークフリードとはワグナーの歌劇に出てくる英雄のことだと思われる。

ユングはその夢を次のように解釈した。ジークフリードは自分の意志によって道を切り開いてゆく態度を表しており、自分はそのような態度を否定することが必要である。つまり、それを殺してしまうことが必要であると考えた。

自分の意思を英雄的に他に押し付けることは、当時のドイツ人が行おうとしていたことである。そして、ユング自身も意志の力によって生きようとする理想と意志的な態度を持っていたのである。

しかし、「自我の意志よりも高いものが存在し、それに対して人は頭を下げねばならない」ことをこの夢は告げていた。と彼の『自伝』の中に記している。45%

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自我の意志より高いものとは、集団的無意識に通じていくのだろう。1個人の浅はかな顕在意識から来る意志にこだわってもたいしたことないってことでは。この辺は天外伺朗さんの「運命のシナリオ」でいう“あけわたし”に通じるイメージがわく。

無意識あるいは「宇宙のシナリオ(集団的無意識)」から来るメッセージに、従うことを、

あけわたし

「運命のシナリオ」p130
と呼ぶ。

「運命のシナリオ」

これは私流の解釈。

<<<<投稿済の内容>>>>

⭕️C.G.ユングを詠む(001) 
1.Carl Gustav Jung (1875-1961)
⭕️C.G.ユングを詠む(002)-自伝
2.ユングの自伝
3.ユングの故郷スイスについて
4.両親の影響
5.三歳で見た六十五歳まで秘密にした夢
6.ユングの子供時代の秘密
⭕️C.G.ユングを詠む(003)-少年期
7.変わり者ユング少年
8.もう一人のユング
9.牧師であるユングの父との葛藤
10.ゲーテの戯曲「ファウスト」の影響
⭕️C.G.ユングを詠む(004)-人格No1と人格No2
11.人格No1が主であり人格No2はNo1の影
12.父親の死
13. ブルグヘルツリで出会った患者
14.結婚
⭕️
C.G.ユングを詠む(005)-フロイトとの交流
15.精神分析-フロイトとの交流
16.夢分析-フロイトとの交流
17.フロイトの彼の弟子たちへの評価

C.G.ユングを詠む

今回はここまで。私のバイアスのかかった気づきなので、わかりにくかったり、初歩的すぎるところはご容赦願いたい。ご興味を持たれたら、河合隼雄先生の「ユングの生涯」を手にされたい。

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こころざし創研 代表
ティール・コーチ 小河節生
E-mail: info@teal-coach.com
URL: https://teal-coach.com/
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