ロケット&サブマリン~僕の双極性障害デイズ~夢、叶う編
最近とんとご無沙汰だった僕は今、仲間とともにオンラインフリースペースを運営している。
ベースは精神障害者の団体なのだけど引きこもりだったり孤立している人の居場所をオンライン上に作ることで体調や気分がすぐれなくても誰かに会える場所、アウトリーチにもなるので手探りで色々なことを試している。
いつもはおしゃべりをしたりマルチプレイでゲームを楽しんだりとわちゃわちゃした時間を過ごしているけど
コロナが落ち着けば実際に集まってカラオケをしたりバンド活動をしたりフットサルをしたりと色んな可能性がすでに見えてきているので
頭をひねったり傾げたり回しながら毎週、活動しながらあれやこれやと今後に向けてアイデアをねりねりしている。
嬉しいことに人材が豊富でベテランピアスタッフ、ピアサポーターや精神保健福祉士もいるし、
僕らが書き上げた「精神障害者が語る恋愛と結婚とセックス」の編集委員、精神障碍者の愛する力を磨くプログラム「あいりき」ファシリテーターもいるので恋愛に特化することもできるし、
僕を筆頭にヘビーゲーマーもいるので実況プレイもできるというものすごく幅広いテーマに対応できるという強みがある。
活動自体は障害の有無というハードルを取っ払って誰でも参加できるようにしたので興味のある人はぜひぜひご連絡ください。
Skypeが使えれば誰でも参加できますので。
言うまでもなくもちろん無料です。
さて。
なぜ、この活動を始めたのか。
それは僕が念願叶ってピアスタッフになって知った現実がある。
就労移行で本気を出した僕はとある施設で1か月間、実習することが決まった。
その施設は精神障害者の地域生活支援施設。
ついに僕は精神保健福祉の現場に飛び込むところまでたどり着けた。
といってもやることは清掃や雑用。
それでも現場に入ることで支援についてどんなことをしているのかを垣間見ることができたので僕は十分だった。
週4日、10時から16時という法定雇用率の週20時間ペースでの日々はなかなかにハードだったけれど、
この10か月で精神障害者として生きていく覚悟や何が何でもピアスタッフになるという信念を貫いてきた僕にとっては充実していた。
やはり大事なのは現場に身を置くこと。知識は文献や書籍でいくらでも手に入るけど知恵は現場にいないと身につかない。
そしてもう一つの課題が働きつつ今まで通り夕食作りができるかどうかだったんだけど、こっちはフルタイムの頃もやっていたことなので
帰りにスーパーに寄ってメニューを考えながら買い物をして作るという流れは疲れていてもさして気にならず、
というより単純にカミさんが喜んでくれるので音楽をかけながら歌を口ずさみながら料理をするのは良い息抜きになっていた。
そして実習を終えた2か月後。
僕はこの施設での就労が決まった。
10か月間、頑なに僕が信念を貫き通したことで職員が本部へ熱心に掛け合ってくれたのも大きい。
ついに念願のピアスタッフという夢を僕は叶えた。
就労移行と同じ法人というのもあるけれど僕の強い想いがなければ職員は何もしてくれなかったと思うので自画自賛するけど努力の賜物だと思う。
なにせ生まれて初めて夢を叶えたので。
僕はこの時、人の心を動かすことも重要なことだと初めて気づいた。
世の中にはどうやっても一人では実現できないことがある。
たとえそれがどんなに素晴らしい夢だとしても。
だから仲間を増やしていくことが大事になってくる。
その時に自分の気持ち、想いを丁寧に伝えようとすると自分自身をしっかり理解している必要があると思う。
そして人に対して真摯に夢を語る勇気も必要になる。
どういうわけか日本人は壮大な夢を描いている人を笑うところがあるので
自分の夢を人に語るのに勇気がいる。
恥ずかしいのをごまかすために冗談っぽくしたり端折ってしまったりして
結局、中途半端になってしまい誰にも届かなかったりする。
僕もかつてはそういう中途半端なことをしてきたし、時期によっては躁転していたので本当に訳が分からないということもあった。
その経験があるから僕は自分の描いている夢を丁寧に語るようにしている。
もちろん返ってくる言葉は「いや、また躁転してない?」とか「いや、無理でしょ」とか「もっと堅実に働いたほうがいいよ」とか。
僕からすれば「ごもっとも。仰る通り」みたいなものばかり。
でも僕は気にしていない。
10人に伝えて1人でも共感してくれたらそれでいいから。
50人に1人でもいい。
必ず一緒にやりたいと思ってくれる人はいるし見当たらなければ探しに行く。
だからまずは自分だけでも始められることに取り掛かって物事を少しずつ進めておけばいい。
机上の空論でも絵に描いた餅でもないことが目に見えていれば説得力も増してくる。
馬鹿にしていた人が180度コロッと態度を変えて手伝ってくれるようなことも起こる。
そうやって少しずつ人を巻き込んで行くとより現実味を帯びてくるので説得材料も増えていく。
夢を叶えるってその繰り返しなんだと思う。
夢を描いている人を嘲笑する人というのは夢のない人、挫折した人が圧倒的に多いような気がする。
もしかしたらそこには自分にはできないことをやっている人に対するやっかみのような感情があるのかもしれない。
人を馬鹿にすることはとても簡単。
けどそんなつまらない感情に振り回されずに自分が夢を叶えることで
そういう人たちに「夢は叶うのかもしれない」という希望を与えることにつながると僕は考えている。
僕は1年間、就労移行に通っている間、ずっと「無理です」と言われ続けていた。
それに対して僕は一所懸命に訓練を続けた。
座右の銘である「一途バカ」の復活だったな。
バカと呼ばれるくらい一途になれと自分を奮い立たせていた。
どうすれば作業効率が上がるか、速度を上げられるかを常に考えながら作業していたし休憩時間にはアキラ君を始め多くの人と話すようにしていたら結果として放課後のように日が傾くまでおしゃべりする仲間が増えてたくさんの人とつながった。
ピアスタッフという夢を叶えるために今、できることは日々を丁寧に、
大切に過ごすことしかなかった。
そして無理だと言い続けていた職員たちが多くの働きかけをしてくれたおかげで僕の道は拓けた。
僕の想いとそれを知った色んな人たちのおかげで僕は夢を叶えることができた。絶対に僕一人で叶うような夢じゃなかった。
だから僕は夢は叶うことを色んな人に伝えている。
むかつくこともあるし悔しいこともある。時には挫折することもある。
それも含めて夢を叶えることだと思っている。
その気持ちが僕にとっては何よりの精神安定薬なんだと思う。
ちょっと劇薬っぽいとこもありますが…。
3年前、「精神障害者が語る恋愛と結婚とセックス」の編著に携わったのをきっかけに今でも寛解状態にあるのはずっと夢を見て、叶えて、ずっこけてを繰り返しているからだと最近、思う。
とにかく楽しいんですよ。この生き方。
何をやるにしてもリスクはあるし避けようがない。
だったらとりあえず楽しい日々を過ごしていたら寛解は続くんじゃないかなと。
メンタルヘルスにおいて僕は「楽しいかどうか」が一番、大切なんじゃないかなと思う。
楽しければうつにはならないし、その楽しさを続けるために躁を抑え込めるという「楽しさ」を軸にしたリカバリー。
なかなか斬新だと思いませんか?
「まずは退院」でも「とりあえず就労」でもなくて
「楽しい生活が待っているから退院」「楽しいことをもっと楽しむための就労」になったら良いなぁと思うわけです。
僕は何かと支援者が大好きなQOL(Quality of life)を「生活の質」という切り取った視点で見るのではなくて「人生の質」として見ている。
1人1人が楽しいと思える人生を送ること。
漠然としていると思うかもしれないけれど、精神疾患がそもそも漠然としているからそれでいいと思っている。
なんとなく地域に戻って言われるままに働いて休日は独りぼっちで元気になれるわけがない。
僕自身、ピアスタッフになったはいいけど休日が平日だったので誰とも会えず部屋でぼんやり過ごしていたらうつっぽくなってしまった経験があるので誰かに会うとか楽しいことをするって本当に大切だと思っている。
たぶんこれは人間という生き物の特徴なんだろう。
2014年10月21日。この日、僕は夢を叶えた。
ひとまずここで「ロケット&サブマリン~僕の双極性障害デイズ~」は終わりにします。
読み手の苦労を無視した長~い文章をいつも読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。
次からはピアの世界で学んだ僕自身の考え方や物事のとらえ方を綴っていきます。
改めて皆さんありがとうございました。
それではまた近いうちに。
アディオース!
MerryXmas&Happy new year🎄