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楽しき故郷滞在記Part2
さて2年ぶりの帰省は2日目。
今年は大きな地震が起こり、そこに台風も来たので苦難の夏になっている。
地震前は青島から日南海岸を海沿いに進んでサンメッセ日南や鵜戸神宮に行きたいなぁなんて考えていたけど、
この旧道はウネウネしている上にずーっと崖下なので今回は残念ながら見送ることにした。
でも必ずまた行くから待っててくれモアイたち!
で、そうなるとどこに行こうか…という話になり
この日は都井岬に行くことになった。
宮崎県の最南端にあたる串間市にある都井岬は貴重な野生馬の生息地。
厳密に言えば野生化した馬は北海道にもいたりするけど都井岬にいるのは天然物なので全てが馬優先。
さらに最南端なので綺麗に水平線が見える。
とはいえ実家からは片道100km…
ようやく高速道路が通ったので海岸線を行くよりは速いけれど完全開通していないので2時間はかかる。
ってなわけで6時起き。
一応アラームをかけたけど寝たのが早かったから5時半に目が覚めてしまった。
かつては薬の影響もあって朝がすさまじく苦手だったけど、
今はスカッとパチっと目が覚めるので庭に出てメンソールで一服しながら手を広げて宮崎の強烈な朝日を浴びるのが実家でのルーティン。
横浜にはない開放感がここにはあるのです。
軽く食事を済ませていざ都井岬。
宮崎市内といっても中心から少し離れるだけであちこちに田んぼがある。
黄金色まであと少しなんだろうな。
まだ少し緑が残っていて頭を垂れていない。
悪天候に耐える稲穂を見ていると色んなことを考える。
子どものように窓にへばりついてしばらく考え事に耽っていた。
途中、北郷の道の駅でトイレ休憩。
親父はタフだなど思いつつ若干、運転が荒くなったというか飛ばすのが気になる。
まぁ…なる早で向かってるんだと思うけど昔からオカンは100kmを超えると恐怖を感じるのを知っているはずなので「うむむ」と思いつつ、
余計なことを言って苛立たせる方が危険なので黙っていた。
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さて北郷を過ぎるとまだ高速が通っていない。
工事はしているけどまだまだ時間がかかりそうだな。
こういう景色を見るといかに都心は何もかもが揃っているかを実感する。
なのに「不便だ」とよく耳にするのはなぜたろう…
旅行中なのに浮かれることなく淡々と考え事をするクソ真面目なわし…バカです。はい。
ようやくたどり着いた都井岬にはゲートがあって入場料(保全に使う)を支払う。
ここから先はお馬さんの土地なので基本、徐行。
カーブを曲がったら馬が横断中なんてこともあるらしい。
馬というと広い草原でのんびり草を食んでいるイメージだったけどゲート周辺は鬱蒼とした森林地帯。
暑い日は涼むために森にいることも多いらしくてちょっと意外だった。
ようやく視界が開けた小高い丘に野生馬の集団を見つけた。
段々になっている崖を平然と歩いている姿はヤギもびっくりしそうだ。
パーキングに車を停めるとお馬さんの落とし物があちこちに鎮座しているので、
わらのような匂いが漂う。
のどかだ。平和だ。穏やかだ。気持ちがいい。
近くの展望エリアから見える景色はどこまでも海。
霞んでるので水平線がはっきり見えないけど、
それはそれで空と一体化していて不思議な景色。
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都井岬には灯台があるので汗をかきつつ上まで登る。
真っ暗な海で見える灯台の光は頼もしさや安心を得られるんだろうな。
わしもそんな人間でいたい…とまた真面目に考え事を始めてしまったバカです。
さっさと登らないから置き去りになってしまった…
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それにしても暑い…9月の頭なのでほぼ夏。
ただ横浜と違うのはアスファルトの照り返しがないのとカラッとした暑さなので不快な暑さじゃないのが救い。
暑いけど。
灯台から戻る道すがらでクラフトコーラがあったので涼を取りつついただく。
ふと親父を見るとコカ・コーラの缶を傾けていた。
行動パターンがほぼ同じでカミさんとオカンが笑っている。
パーキングに戻ってきたらさっきは離れたところにいた馬がすぐ近くに集まっていた。
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…草刈り機より綺麗だ
人に対して慣れているので逃げたりせずにずーっと草を食んでいる。
もちろん慣れているとは言っても野生動物なのでお触り厳禁。
ほどほどの距離を保ちつつ(またもやバウンダリーは大事とか考えちゃったバカです)
日陰でぼんやり馬たちを眺める。
親子なのか家族なのか分からないけど集団で生活しているのか子馬もいて一心不乱に草を食んでいるのが微笑ましい。
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さてさて、我ら家族もお腹がすいてきた。
オカンが近くにある魚料理屋さんを予約してくれているので車で移動。
疲れた心には人よりも動物のほうがわしは落ち着くので穏やかな気持で窓の外を眺めていた。
少し車で移動して「海のこころ」さんでランチをいただく。
正直かなり不便なところだけど(すいません)ランチタイムということもあって混雑しているのは美味しい証。
ランチセット最初の一品はトビウオの姿揚げ。
トビウオは英語でFlying fish。
Flying fishのフライ…と心の奥底で親父ギャグが浮かんできたけど口には出さないでおいた。
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これがとても美味しかった。
カラッと揚がっていてトビウオの甘さが引き立っていた。
なので中骨だけしか残さなかった野間家である。
九州はトビウオ(アゴ)を出汁としてよく使う。甘みがあって煮干しやカツオとは違う旨味があるので見かけたら使ってみてね。
そのあと出てきたのは今朝捕ってきたお魚のお刺身とあら汁。
タカノハダイなど市場には出ない新鮮なお魚でご飯がバクバク進む。
親父とカミさんのご飯も分けてもらったので1合半は食べたぞ。
久しぶりに口にした九州の刺し身醤油は相変わらず甘ったるくて懐かしかった(でも辛口の方が好きです)
ごちそうさまでした!
目の前が海だったので1人で少し歩いて腹ごなし。
聞こえてくるのは潮騒と風の音だけ。
見えるのは碧い海と青い空と蒼い森だけ。
何もないことが何よりの贅沢。
やはりわしは都会暮らしが向いてないんだなぁと思いながら拾った石を思いっきり投げたり写真を撮る。
ふと足元を見たらシーグラスが落ちていたのでいくつか拾ってポケットに入れた。
そういえば昔、おばあちゃんと青島海岸で桜貝を探したっけ。
今はすっかり見なくなってしまったけど…。
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ひとりっ子の自由さを炸裂させてシーグラス拾いに夢中になっていたら親父からLINEが入るわカミさんから電話が来るわで家族全員から叱られてしまった…
成長してなくてさーせん…
でも誕生日が近いカミさんに青いシーグラスを渡したら喜んでくれたからそれで良し。
車に乗り込んで「宮崎」と名付けたプレイリストをかける。
偶然カントリーロードが流れ出す。
それを聴いた親父が鼻歌を歌いだす。
相変わらずヘタだ。
でもこうでなくちゃ。
ついニンマリしながら窓の外に広がる海を眺めた。
2日めが終わる。
明日は親父の生まれ故郷に行く。
今年99歳で亡くなった祖母に会いに行かなくちゃ。
というわけで宮崎滞在記Part2はここまで。
そのうち3日目も綴ります。
ではではアディオース!