第三十二候 蓮始開(はすはじめてひらく)
若葉の柔らかさを、優しい友の手のように感じる。早朝、蓮が花開くこの候、増し土をしたフィカスも元気に青葉を繁らせている。その葉に軽く触れていると、ふと、気持ちのやりとりが仄かに閃くように感ずる。遠くでなくとも、木霊(こだま)は聴こえるのかもしれない。
少し前、小暑に入り、暑中となった。合歓(ねむ)の木が、薄桃色の刷毛のようなふわふわした花を咲かせる。綺羅めく瑠璃色をした大瑠璃(オオルリ)が、人には聞きなすことのできない、高く澄んだ声で話す。空に筆を滑らすように飛ぶ燕が、二度目の巣作りをし、雛に食べ物を運んで来る。人でなくても、木でなくても、そこに気持ちはあるのかもしれない。
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第三十二候 蓮始開(はすはじめてひらく)
7月12日〜7月16日頃
朝の静寂の中で蓮の花が開く時期
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参考文献・資料:
山下 景子, 『二十四節気と七十二候の季節手帖』, 成美堂出版, 2013年. https://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415314846
(晩夏、小暑・次候、第三十二候 蓮始開(はすはじめてひらく))
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