こどもの成長がたまに寂しくなるなぁって話。#006
うなぎちゃんが泣いている。
ちょっとうるさいかも〜ってくらい、泣いている。
わたしは床に座ったまま、うなぎちゃんを抱き上げ太ももに座らせて、抱きしめる。
ぎゅーーー、とか言いながら。
うなぎちゃんはヒシッッとわたしに捕まっている。
ぎゅぅぅぅぅと、袖を握りしめている。
しばらくして、さっきまで遊んできたおもちゃを近くに見つける。
遊びたい。
でもそこに行くと、少しわたしから離れないといけないから、見てるだけ。
でも見てるだけじゃ我慢できず、上半身をわたしから離して手を伸ばす。
いっぱいいっぱい伸ばして、おもちゃを掴んで、そのまま遊ぶ。
わたしの太ももの上にいたら遊びにくいと気づいたらしい。自分から降りる仕草があったので、床に降ろす。
左手でわたしの袖をぎゅぅっと掴んだまま、おもちゃで遊ぶ。
いつの間にか、遊ぶことに集中して、袖をつかんでいた左手もおもちゃを触っている。
でも足と足が触れ合う距離にいる。
だけど、少し遠くに別のおもちゃを見つける。
そちらへ進んでいく。
たまにわたしのほうを振り返って
ママ、ちゃんとそこにいるよね?と言いたげな顔でこちらをみる。
そのうち、わたしのほうなんて見なくなって
また次のおもちゃ、と興味がどんどんうつっていって
わたしがどんなに手を伸ばしても届かない距離で遊んでいる。こちらも見ずに。
いつもの、集中してるときの、尖らせた口で。
子育てってこういうことなんだな、と思う。
少しずつ少しずつ、わたしから離れていく。
わたしができることはひとつ。
安心して冒険に出かけられるように、ドシンと構えていよう。
帰ってくる場所ならあるからね、って。
それまでに、たくさんたくさん、愛情をあげよう。
でも、その日が来たら、言ってしまうかもしれない。
もう少し、ここにいたら?
おしまい。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?