『たゆたう』ふとした時にそっと戻りたくなるような本だった。
一つ前の記事に載せた、
長濱ねるさんのエッセイ『たゆたう』を読んだ。
元々長濱さんのファンだったからというわけではなく、なんとなく流れてきたinstagramの投稿でとても素敵な本だと紹介されていたことがきっかけだった。
長濱ねるさんは知っていたが、
「前にアイドルだった方」以上の情報は知らなかった。
そんな状態で読んでみたこの『たゆたう』は
思いがけず、私のお気に入りの本の一つになった。
中でも印象的だった誕生日のエピソードの一節をご紹介。
自分の思考と重なる部分が多いからだろうか、
ずっと読んでいたい心地よい文章。
それはまるで、居心地のよい自分の部屋に帰ってきたときのような「安息の地」を感じさせる言葉たちだった。
なにより、遠い世界にいるように思っていた可愛らしいアイドルの方が、自分と同じような日常において、心が救われたり、傷ついたり、愛おしく感じたりする、その感性を持っていることに少し驚いた。
また、勝手に「アイドル=完璧な存在」という固定概念もいい意味で覆された。
本書で綴られているように、自転車でコケて膝を怪我したり、深夜にカップラーメンを食べたり、0:00になった瞬間に誕生日のお祝いメールが届くかソワソワしたり。
そんなねるさんの姿を想像するとなんだか愛おしく感じた。
それと同時に表に出るお仕事の方は大変だなぁとも。
一区切りついたところでinstagramでねるさんを検索してみた。
「素敵な文章をありがとう。これからは陰ながら応援させていただきます」の意味を込めて、そっとフォローボタンを押す。
投稿を見ると、エッセイの中で綴っていたように、見る人、受け取る人を意識して投稿していることがよくわかり妙に納得感を感じてしまった。
とにかく私は
「エッセイストの長濱ねるさん」を好きになった。
ファンの中でもエッセイから入るのは珍しいのだろうな。
熱狂的なファンという訳ではないのかもしれない。
でも、ねるさんの文章がまた読めるのなら
すぐに飛びついて読みたいくらい、ねるさんの紡ぐ言葉と、長濱ねるという1人の女性に惹かれてしまったみたいだ。
素敵な本に出会えた。
本も人も思いがけない出会いがあるから面白い。
この出会いに感謝をしながら
暗い路地をスタスタ歩く。
冷え切った空気がとても寒い。
温かいお風呂とご飯に思いを馳せて帰路に着く。
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