パキスタンの華やかな宮殿
パキスタンのバハーワルプルに佇む「光の宮殿」という意味のヌール・マハルは、19世紀末に建てられた壮麗な宮殿で、イスラム、インド、ヨーロッパのスタイルが融合された独特な建築様式で知られています。
ヌール・マハルは1872 年に、バハーワルプルの支配者ナワーブにより建設されました。パンジャーブ州にあるバハーワルプルは、イギリス統治下にある大きなムスリム藩王国でしたが、インド・パキスタン分離独立時、バハーワルプル藩王国はパキスタンへの帰属を決定し、同国に併合されました。
ヌール・マハルは、イスラム、インド、ヨーロッパの建築様式が見事に融合されたデザインで有名です。イタリアのシャトー様式にインスピレーションを得て、西洋と東洋の要素を組み合わせて建設され、宮殿の材料や家具のほとんどはイギリスとイタリアから輸入されました。
宮殿の前には手入れの行き届いた芝生と噴水があり、宮殿には、コリント式の柱、ヴェネツィアの扉、見事なアーチが見られ、ピンクの大理石などの地元の素材が使用されています。宮殿の内部は、装飾された天井、手の込んだ彫刻、鮮やかなフレスコ画がとても印象的です。宮殿にはダルバール・ホール、スモーキング・ルーム、ミラー・ルームなどがあり、当時の家具がそのまま残されています。
2001年、ヌール・マハルはパキスタン考古学局によって「保護記念物」とされ、現在は一般公開されています。訪問者は宮殿に足を踏み入れると、当時の支配階級の贅沢な生活へとタイムトリップすることができます。宮殿の敷地では文化イベントや祭りも催され、観光地としての魅力がさらに高まっています。夜になると宮殿は宝石のようにライトアップされます。
ヌール・マハルには重要な歴史的一面があります。1897 年 5 月 11 日、ヴィクトリア女王の 60 歳の誕生日が宮殿で祝われました。バハーワルプルにはヴィクトリア女王の名にちなんだ「バハーワルプル・ヴィクトリア病院」もあります。
1997 年、パキスタン軍は宮殿の所有権を接収し、修復しました。その後は陸軍クラブとして使用され、現在は外国使節団との会合や接待をする迎賓館として使用されています。
ヌール・マハルはパキスタンの歴史的な遺産です。多様な影響が融合された宮殿は世界中から訪問者を魅了し続け、かつての壮麗な時代を体験させる生きた証拠として、パキスタンの過去の華やかさを伝えています。