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「 寝たきり老人 」という概念をなくすには?③~なぜスウェーデンやデンマークには「寝たきり老人」がいないのか?#2~《 龍の雑記帳 p.13 》
こんにちは、段ボールに入った荷物が片付かなくて気分がノらないNmoisyuuke(のみすゆけ)です。📦📦📦📦📦
前回
中途半端になってしまった
「 なぜスウェーデンやデンマークには
『 寝たきり老人 』がいないのか? 」
について詳しく説明していきます!
※ スウェーデンとデンマークとは言っておりますが、
ここからは主にスウェーデンのみの内容となります。
👴🏻 なぜ「 寝たきり老人 」が少ない? 👵🏻
スウェーデンの高齢者ケアに詳しい
東京経済大学・西下 彰俊教授いわく、
日本では寝たきり状態にある高齢者が150万人から200万人ほどいると言われています。一方、スウェーデンはそもそも寝たきりになる人がほとんどいない。いたとしても、終末期ケアが行われる数日から数週間の短期間だけです
スウェーデン料理にはアンチョビに代表される塩蔵、スモークサーモンといった燻製、ニシンのマリネのような酢漬けなど塩分濃度が高いものが多い。日照時間が短く野菜もあまり採れないので、荒れ地でも育ちやすいディルのようなハーブ類を多用します。またアルコール消費量も多く、日本人と比べて健康的な食生活を送っているとはとてもいえません
つまり、
日本とスウェーデンの大きな差は、
食生活が理由ではないということです。
では、他の理由とは
何でしょうか?
それは、
以下大きく3つあります。
1️⃣ 「 自立した個人 」を尊ぶ文化
2⃣ 国はひとつの家族
3⃣ 幸福国家
そして、これらを詳しく分けると、
1️⃣ 「 自立した個人 」を尊ぶ文化
1.子どもと暮らさない
2.「 胃ろう 」は虐待
2⃣ 国はひとつの家族
3.治療 < 手助け
3⃣ 幸福国家
4.介護の負担はすべて国が負う
5.高負担( 税率 )でも納得できる
といったようになります。
それでは、
それぞれを詳しく見ていきましょう!
1️⃣ 「 自立した個人 」を尊ぶ文化
1.子どもと暮らさない
スウェーデンの高齢者は、基本的に
子どもなどの親族と暮らしていません。
夫婦2人かひとり暮らしがほとんどで、
子どもと暮らしている世帯は約4%という、
日本の44%と比べてはるかに少ない割合です。
これは高齢者に限ったことではなく、
スウェーデンでは、
16歳( 義務教育を終える歳 )になると
親元を離れてひとり暮らしをするのが
一般的です。
( とはいえ、家族関係が希薄というわけではなく、
近くに住んで頻繁に交流する家族も多いようです )
「 自立した強い個人 」
が尊ばれる文化が根付いているからと言えます。
また、独立して暮らしている高齢者が
病気やけがをするなど介護が必要になったとき、
日本では「 子ども( 夫婦 )が親の介護をするのはあたりまえ 」
という考えも根付いているがゆえに、
その高齢者の親族が
全面的に介護をすることもありますが、
スウェーデンでは、そのようなことはありえないことで、
コミューン( 市町村などの自治体 )が
高齢者の希望に沿うように
サービスを提供することになっています。
そのサービスは、
在宅サービスが基本です。
「日本では要介護認定されれば、在宅サービスを利用してもいいし、施設サービスを利用してもいい。これは、当該の高齢者や家族が自由に選べる『選択モデル』です。
一方でスウェーデンでは要介護状態になったら、できるだけ在宅での介護が行われます。介護付きの特別住宅に入りたいと申請しても、それを認めるかどうかは『援助判定員』というコミューンの専門職員の判断に任せられる。本当の人生の終末期にしか施設に入ることが許さない、『順序モデル』が基本なのです」(前出の西下氏)
つまり、日本では施設に入れられているような
認知症の高齢者のほとんどが在宅介護を受けており、
症状や要介護状態によって
介護士が一日に何べんもやってきて面倒を見る
というのが一般的です。
( 65歳以上の高齢者のうちたったの6%だけが
特別住宅に入っており、ほか約90%近くは
在宅介護を受けていることになります )
2.「 胃ろう 」は虐待
このようにスウェーデンが
在宅介護と「 順序モデル 」を重視している理由は、
① 「 自立した個人 」を尊ぶ文化
② 高税率
です。
①は先ほどから述べてきた通りです。
②に関しては、
スウェーデンにおける介護の財源は
すべて税金でまかなわれており、
高齢者になれば、誰でも
少ない自己負担
( 上限が月1780クローナ=約2万5600円 )で
介護サービスを受ける資格があります。
しかし、さすがの高税率国家でも
税金だけですべての高齢者を施設で面倒見るのは
限界があり、
介護士を何度も派遣する在宅介護のほうが
コストも抑えられるため、
在宅介護のほうを推奨しているのです。
すると、介護士たちは
高齢者がより自立した生活を送り
自分で食事ができるよう
サポートすることで、
寝たきりになって在宅介護ができなくなることを
防いでいるのです。
国際医療福祉大学大学院・高橋 泰教授いわく、
「スウェーデンを始めとした北欧諸国では、自分の口で食事をできなくなった高齢者は、徹底的に嚥下訓練が行われますが、それでも難しいときには無理な食事介助や水分補給を行わず、自然な形で看取ることが一般的です。
それが人間らしい死の迎え方だと考えられていて、胃に直接栄養を送る胃ろうなどで延々と生きながらえさせることは、むしろ虐待だと見なされているのです」
現在の日本の病院では、亡くなるまで
延命措置( 点滴やカテーテルを使った静脈栄養など )
を行うことが一般的です。
スウェーデンでは、1980年代までは
無理な延命治療が行われていましたが、
少しずつ国民の考え方が変わってきたようです。
スウェーデンの介護士・アンナ・ヨハンソンさんいわく、
「スウェーデンでも'80年代までは無理な延命治療が行われていましたが、徐々に死に方に対する国民の意識が変わってきたのです。長期間の延命治療は本人、家族、社会にとってムダな負担を強いるだけだと気付いたのです。日本のような先進国で、いまだに無理な延命が行われているとは正直、驚きました」
北海道中央労災病院長・宮本顕二さんいわく、
スウェーデンの終末医療が日本と根本的に違うのは、たとえ施設に入っても原則的に同じ施設で亡くなるという点にある
日本の場合だと介護施設に入っても、病状が悪化すれば病院に搬送され、本人の意思にかかわらず治療と延命措置が施されます。施設と病院を行ったり来たりして最終的に病院で亡くなるケースがほとんどです。自宅で逝きたいと思っても、延命なしで看取ってくれる医師が少ない。
一方、スウェーデンではたとえ肺炎になっても内服薬が処方される程度で注射もしない。過剰な医療は施さず、住み慣れた家や施設で息を引き取るのが一番だというコンセンサスがあるのです
介護をする側もされる側も
寝たきりにならないための努力をしており、
それでも死に向かう状況になってしまえば、
潔くあきらめる、というのが
スウェーデンの死の迎え方なのです。
👴🏻 まとめ 👵🏻
いかがだったでしょうか?
1️⃣ 「 自立した個人 」を尊ぶ文化
1.子どもと暮らさない
2.「 胃ろう 」は虐待
日本とかなり違っている点があり、
しかも一概に高税率だけが理由ではない
ということもわかりました。
次回は、
2⃣ 国はひとつの家族
3.治療 < 手助け
について詳しくやっていきます!
参考文献
週刊現代「スウェーデンにはなぜ『寝たきり老人』がいないのか」
週刊現代「消費税25%でも、相続税はナシ! ゼロからわかるスウェーデン『超合理的な社会』のしくみ」
Vivid forum Column「寝たきりゼロは可能か」
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🖋️アルファポリス|平倉義忠
『 珈琲杯の憂鬱 』 『 人間に棲む狼 』 『 詩集 光闇(モノクロ) 』