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詩│林檎の白月

寒空は水彩絵具で

描いたような水色

白い半月うっすらと

溶けてなくなりそうな氷雪

誰かの泣き腫らした頬は冷され

涙がそっと乾いてゆく

林檎の皮を

なるべく薄く

クルクルと回し剥く

丸い白月

あの半月の形に切って

サクりとかじれば

みずみずしき薫り

夕日が西に輝けば

風もたち

月が白無垢の上に

さえざえと光のシーツを纏うのよ

あたたかさをのこして

さあ、お布団に頭までスッポリとはいってしまったきみにも

林檎を切ってあげるよ

夕日に透かせば

寒月夜にも甘みが増すらしい





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