くじらの瞳
現代短歌・俳句・川柳をまとめました
自由詩を集めました。 愛媛のお菓子ではないのですが、 ご賞味いただけたら嬉しいです。
悲しみを帯びたビロード貼りの夕焼けは 風と共に塩の焦げた匂いを運んでくる 白い能面の凍りついた緊張 万華鏡の様に変わる感情 その裏側 嘆きをはらんだ怒りの前で心を砕かれる 悪夢 あなたという夕焼け色のあたたかなイメージ 風に乗って香り立つ 悪夢も夕焼け色に染まりつつ 深い海に溶けて沈む 遠い海の向こうでは血気盛んな者達が 夕日の海を渡って行く 映る心 映る心 映る波に夕日も揺れて ある空 夕焼けの空 嗚呼雲はなんてのろまに動く のらりくらりゆっくりと 夕焼け色に染まって
一握りの砂が星屑になったらと 夢みたいな歌を 一握りの砂を握ったまま 声を震わせて 砂漠の真ん中で流した涙は 三日月みたいに光ってた わたしも遠くで ただ泣いて 痛い三日月光らせた あなたの歌にその手の中に あるものが わたしの手にもあるように 手と手をとりあえるそんな歌 銀杏の葉っぱの形した 二人の心でありたいな 握りしめた手と手の中で 震えたあの歌がどんなに痛くても わたしの大切な子守唄であるように
星空 木立が満天の星にめがけて枝葉を 伸ばして 小さな丘をくだると樹の幹と根が あります その根から丘を駆け上がる 枝葉と満天の星空が一体になる ひとつのドームに私は立って あなたへの思い あなたの存在の中に包まれた 気持ちになります どうか その微笑み その微笑みの中に 私を置いてください あなたの瞳の中に入った 様なこの星母子のドームで 涙の輝き 微笑み 手を広げて 目を閉じて 包まれます 例えようがない 太陽に背をむけた寂しさに
ユメ ユメ ユメ と 雨がふる ユメの中だけ 雨がふる 何かを探して迷子になった ユメダケジャダメナンダ、 キライキライダイキライ! マモリキレナイアナタモワタシモ、、 イタいイタいの嫌だから お願い最後は歌だけが 歌だけだから 歌ってほしいのよ 優しい 優しい あのうたを ユメ ユメ ユメと 雨がふる ユメの中だけ 雨がふる あの人本当は心が泣いているだろう アメ アメ アメの その中で 傘もささずにあるいてやしないか 迎えにいくよ
【つぶやき短歌二首】 冷たい風にたなびく川面のキラキラが曇天を綺麗に割いてゆく胸の奥まで ひと粒ひと粒のみ込むひとの胸から放たれし言葉は心の瀬に棲み澄まわせる
歌だけがあなたの心に架けられる橋のような日々を過ごせたね 悲しくてあのひとの一瞬の手の温もりに餓えた子の涙かな 揺れて揺られてなぜ吹くの貴方と私の花の間に風よ 汚れても洗いたてお日様とゆられ手をつなぐ木綿のしあわせ あの子の頬の涙を拭いたら小さな微笑み木綿の喜び 破れたら小さな刺繍をしてくれたあなたの指は魔法の手 いくつかのあたたかな歌に掬われ涙して迎えられた夜明け
テレビの液晶から エメラルドグリーンの海 日本海でもこんな海があるんだと くぎづけになった 一度も行ったことはないけれど聞いたことのある地名 父だったひとの故郷だった おとうさん あなたの産まれた街の浜辺と わたしの産まれた街の浜辺は 同じ綺麗な石の浜辺なのですね 波を受け止める石たちの音が 同じ音だった 同じ音を聞いていたのですね だからわたしはここに来たくなるのでしょうか 波音を聞くとなんともいえない 気持ちになる わたしの心は波音を求め
庭先の縁側下の桶に溜まった水が風に揺れている 光の屈折に 心が写る 矛盾だらけにみえても この身体を通して感じている この宇宙の片隅にある庭から 見上げる空 大空に凧を飛ばしたあの日の風 風と綱引きして大空を駆け抜けた 心は秋晴れ大運動会 グラウンドいっぱいに響くスタートのパッパァーン グラウンドいっぱいに響く あの子の真剣な眼差しが空に刺さる いつしか 空は雲ひとつなく ただ あるがまま あらわな 心 ただ 君がすき 空が高く 手を伸ばして
金色の夕日を纏う北風にさらわれ 揺れ落ちる木の葉よ ゆっくりときみの背中を 頬を包みたまえ サテンに光るベールがきみを導きたまえ 母を包むような きみが紡ぎし言の葉よ愛のもとへ 言の葉は巡る また、荒野のもとでも紅い実が 実るだろう 今、染まり行く紅が、 ただ優しく揺れ落ちる 今になって あるがままに 私の心に落ちてきた 確かに確かに 落ちてきた 優しい優しい優しすぎた魂の声 梢が鳴らす哀愁が震える 夕日の順光線に わたしも手を伸ばそう
寄り添う気持ちがあるがまま花咲く小道歩く時君を思う お猿の籠やになって風に君を運んでいけたなら 分身の術君が逢いたいあのひとのもとへフワッと浮くからつかまってて 三日月の夜明け青空へ何故これまでに澄んでゆく君の思い 過去よりもあなたの今を光らせたい今が最高と言って星ーい! 選挙戦 抗議デモ壁に貼られたプラカード白い余白を見る シクラメン君のように見えるよ灯火の花だね恥じらいながら 分かち合えるあなたその微笑みを、巡る季節に夢中に描いて 切なさは半分ずつ分けあえ
サボテンをじっとみているその頬は柔らかな薄紅色を散らし 藪の山道その先に開ける景色をみたいからと登ってゆく ポットのお湯を注ぐ音と湯気になにかが溶けゆく心のどこかが 車輪の合間から浮上した蝶々と並走をするサイクリング 秋空に溶けいるように眠るとき青白き光に掬われて 出来ないことが増えてゆくからと母と見にゆく樹木葬の霊園 山頂の風 枝葉を飛び交う小鳥のさえずり潮騒のごとし 好きという淡き想いそれだけに満たされるような沢のせせらぎ 陽射しに白く光る秋の雲 バウムク
生まれてきた 心の一滴一滴を 言葉にしてきた わたしがわたしであったから あなたと出逢えたならば やっぱり わたしはわたしでよかった この一瞬一瞬はもう二度と同じものはない あの木漏れ日も、あの雲の形も ならば あなたとの一瞬一瞬を ちゃんとみていたい ちゃんと見られるわたしでありたい 間違いだらけのわたしでも あなたと出逢えたことは 尊いと感じた わたしがわたしであったから あなたに出逢えた一瞬 その一瞬に魅せられて 恋に落ちた一滴 私は
もうすぐ君が乗ってくる時間だ 毎日乗るバスで私は 君を見かけてから この時間が近づくと胸が高鳴るよ 君は私を見ても知らんぷりだから 君が付けていたアニメのキーホルダーはなんなのか 必死で視線をそらせながら チラ見をし そしてその一瞬で 凝視もするという 技を磨いていた だて眼鏡もかけて そしてやっとわかった 魔法少女マドカ☆マギカ だった 少女趣味なのかしら ちょっと動揺しながらも 夕方洗濯物の揺れる合間から 見る空のように あのキーホルダーのように
彼岸から黄色の菊一輪が明るく灯るように まだ咲いて 寒いと曲がりやすいこの芯は真の情熱を 必要としいた あの時感じた直感を疑うことはなかった ひとを愛しえるひとと 空っ風裏と表の優しさが カラクルと舞い上がりみだれおち 妬けてきた七輪で膨らむお餅と 焼けぼっくいであたたまる冬 この道に迷いなき日が来るかと独り言が増えた冬写経を習いたい昨今かな 私の眼鏡が曇らないようにこの冬は君という寒空のもとで星を浴びよう 痛みさえ真っ黒な君の毒が効き 何故だか私の心は光で一杯
白月は和紙の透かしの質感 柔らかな月光を通し魅せる うつむくたびに 黄色のたんぽぽが 見上げてくれた秋の散歩道 北風に吹かれて転がりながら Rolling’Leavesの哀愁歌 落雷にヒョウでも 明け空の雲に 乗っていくのさ未来を夢みて 私がどんぐりの時に 出会えたきみとは もう確かな木となった きみからのロングパスを ワンツーで踏み込んで スリーポイントシュート! ポケットのどんぐりを ずっと大切にとあたためた ズッ友との約束 あなたの魂の叫びに 火がついた一
耳の形は人それぞれ わたしの言葉はあなたには どんな風に伝わるかな ひとたびこの手から放たれると 雨風に揉まれ形を変えて行くよ だから私は自分の耳の形を 餃子にしてみたり 伸ばしてみたり 手を添えてみたり この耳の骨が柔らかいように 柔らかく柔らかくしていたい 若かりし頃の母が布団の中で 眠れないというわたしの耳をよく触ってくれた 母の指のはらから伝わる感覚 安らぎというよりは どこか 違った 母のまだ知らない未知のあたたかさ、優しさ、 そして