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實川 勝之/アグリスリー

法人名/農園名:株式会社アグリスリー
農園所在地:千葉県山武郡横芝光町
就農年数:11年
生産品目:梨(40品種)、野菜(ミニトマト、カボチャ、じゃがいも、落花生、ほうれん草)、米(古代米含めて8種類)、観光農園の運営
HP:http://agrithree.com/

no.118

パティシエを断念。40種の梨や古代米など独自色で拡大

■プロフィール

 農業を営む家に生まれたが、高校卒業後は調理学校に進学して、洋菓子作りを専攻し、千葉県内の洋菓子店「シューベルト」でパティシエとして活躍していた。

 2001年に父の脚のケガがきっかけで、パティシエの道を断念。 就農直後、青果市場の価格暴落に遭ったことで、水稲と野菜栽培に加えて、当時、横芝光町では生産されていなかった梨に挑戦。

 さらに直販やカフェ、体験農園などの事業を立ち上げる。2011年、父から経営権を引き継いで、アグリスリー社を設立。平均年齢30歳の若い社員を雇用し、人材育成にも力を入れている。

■農業を職業にした理由

 父親のケガや病気治療がきっかけとなり家業を継いだが、就農直後に農作物の市場価格暴落で悔しい思いをしたことから、生産者が販売価格を決められる直販事業への可能性を見出して梨栽培を開始。

 全国一の生産量を誇る千葉県でも、地元には生産者がいなかったことと、スタートが後発という点から、市場に流通しないレア品種に積極的に挑戦し、40種類まで拡大。

 父の代から続ける水稲についても、リゾット用の国産イタリア米「和みリゾット」や3種の古代米、「恋の予感」などバラエティあふれるラインナップが人気。

 また、お客さまの直接喜ぶ顔が見えるような仕事をしたいと、農産物の加工施設や、メニューが楽しめるコミュニティカフェ、体験農園など、地域活性化につながる事業を展開している。

■農業の魅力とは

 農業は、栽培・収穫するだけではなく、いろいろな形があるのが魅力です。僕自身は「農業」という狭い枠組でとらえるのではなく「食にまつわる産業」だと思っていますので、作物を流通させたり、6次加工するのも「食産業」のひとつ。

 農家カフェで料理を作る農家がいてもいいし、直売所の販売が得意な農家や、トラクター操縦がうまい農家がいてもいい。

 農業の幅は広くて自由です。子供には「あとを継いで農業をやりなさい」と言うつもりはありませんが、将来の選択肢に、僕らの仕事が入っていたらいいなと思います。

■今後の展望

 千葉は梨の生産量が日本一ですが、危機感を抱いています。

 農地面積10アールあたりの収穫量(反収)を見ると、決して多くはありませんし、農家も梨の木も高齢化が進んでいます。

 果樹栽培は、米や野菜のようなスマート化・自動化が難しく、例えば隣の農家が廃業して、農地が空いたからと言って、簡単に果樹栽培に転作することもできません。

 そこで、今後は栽培体系を抜本的に見直して、1人あたりの作業者がこなせる面積を増やすことで、産地機能の維持に努めます。作業工程の効率化・省力化は、品質にも影響しますが、贈答用以外の梨は加工用とか輸出用に切り替えることで、新たなニーズを生み出していこうと考えています。

 コロナ以前はタイへの輸出事業にも関わっていましたが、2022年以降は、大手量販店と一緒に、千葉産梨の輸出拡大を進めていく計画です。

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